【住宅ローン金利速報】0.11%の大幅上昇、その背景とは?12月の【フラット35】金利

掲載日:2022/12/06

2022年もいよいよ師走に。今年は、エネルギー価格高騰や物価上昇、世界的インフレ、円安・ドル高水準の進行など、家計や生活へ大きな影響があった一年でした。金融・経済情勢はこれからどうなっていくのか、注視が必要です。2022年12月における【フラット35】金利動向を見ていきます。
2022年12月の【フラット35】金利
2022年12月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は、融資率9割以下、返済期間21~35年、機構団信加入で1.65%となり11月から0.11ポイント引き上げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.49%と、こちらも0.11ポイント引き上げとなりました。融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は、11月の2.36%から0.06ポイント引き下がり、2.30%となりました。
※ARUHI フラット35 各商品の概要、ARUHI フラット50の活用方法はこちら

ARUHI住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHIフラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHIスーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。

物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み。全疾病別途)は1.44%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.48%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.49%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.50%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.51%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.52%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.57%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.60%となっています。
最新の住宅ローン金利はこちら→【ARUHIフラット35】
まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
2022年12月の【フラット35】金利は大幅上昇! しかし利用者増加が予想される理由とは?
米国では急進するインフレを押さえつけるために大幅利上げが連続して決定されましたが、最近では利上げペースを抑制していくという見方が主流となっています。それによって米長期金利の上昇は止まりました。投資家がドルを売って円を買う動きとなったことから歴史的な円安進行も一服しており、一時期は盛んであった日銀に対する政策転換圧力もなりを潜めています。
にもかかわらず、【フラット35】金利は11月の1.54%から1.65%へ0.11ポイントもの大幅上昇となっています。しかし、10月から12月にかけての機構債の表面利率の上昇は0.18ポイントであり、同じ月の【フラット35】の金利上昇が1.48%から1.65%へ0.17ポイントであることを鑑みると、機構債の上昇率とおおむね近似した上昇であるとも言えるのです。

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組みによると、住宅金融支援機構が機関投資家に機構債を販売して資金調達し住宅ローンを貸すという基本スキームとなっています。つまり機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたると考えてみれば理解しやすいと思います。
つまり、10月から12月にかけて仕入値にあたる機構債の表面利率が0.18ポイント上昇したので、売値にあたる【フラット35】の金利も0.17ポイント上昇させたということです。このコラムで何度かお話ししていることですが、住宅金融支援機構は独立行政法人であり、政府に代わって公共的な事業を行うために設立された法人であり、国民の円滑な住宅金融を設立目的とします。そのため、急激な金利上昇局面では、利用者が困ってしまわないように住宅ローンの金利上昇幅を緩やかにして、吸収する対応を行うのです。
そのため、10月から11月にかけての【フラット35】の上昇を0.06に抑えたのですが、11月から12月にかけて帳尻を合わせるには0.11ポイント上げざるを得なかったということかもしれません。
市場の金利という建前になっている長期金利は0.25%前後でほぼ横ばいになっているのに、機構債の表面利率がこれほどに上昇し、【フラット35】の金利も上昇している背景には、長期金利が金利の指標として機能しなくなってきているということもあるでしょう。
長期金利に反して【フラット35】の金利が上がったのですが、2022年10月からは【フラット35】の金利引き下げ制度が多く新設されており、【フラット35】金利引き下げ制度の併用を行いやすくなっています。最長10年にわたり最大0.5%の引き下げとなるので、金利の上昇よりも制度改正による引き下げ効果のほうが大きい状態なのです。そのため、今のような不安定な環境下ではさらに【フラット35】を利用する人が増えていくと予想されます。
※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。

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執筆者:ARUHIマガジン編集部
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