積水ハウス 換気・空気清浄で健康管理 「スマート イクス」販売開始

「エアミー」での空気の動き

掲載日:2021/01/15

 積水ハウスは12月14日、ウイルスや花粉など住まいの汚染物質に配慮し、新しい生活様式に対応する戸建て住宅の次世代室内環境システム「SMART-ECS (スマート イクス)1」の発売を開始した。同日、京都府木津川市の同社総合住宅研究所において、「スマート イクス」のメディア向けの記者発表・実験デモ体験会を開催した。販売地域は全国(沖縄県を除く)。標準価格は43万円(税抜)から。販売目標は2400棟/年(戸建て住宅全商品への追加提案)。

 「スマート イクス」は、既存の商品とプランニングを組み合わせて、窓開け換気だけに頼ることなく、温度変化を抑えながら、換気・空気清浄をし、きれいな空気環境を実現する。

 熱交換型換気システム「アメニティー換気システムⅣ」(8月発売)の給排気口の配置を工夫することで、LDKなどの生活空間に新鮮な外気を取り入れて風上とし、玄関などの非生活空間を風下になるように「換気ゾーニング」して、全体の空気の流れをコントロールする。熱交換型換気で、換気による熱損失を約80%抑制して快適性や省エネ性を維持しながら、商業施設等で求められる1人当たり30m3/h以上の換気量を住宅全体で確保する。

 LDKには、天井付空気清浄機「エアミー」(15年発売)を設置し、空気中の微細な汚染物質を24時間換気システムのみの場合と比べ、約2~5倍素早く除去する。

 21年4月からは住宅業界で初めて住宅設計用CADと連携した邸別換気解析システムを構築し、顧客ごとに換気シミュレーション動画の提案も開始する。設計段階からきれいな空気の広がり方や通り道を見える化し、顧客に自分事として捉えてもらう。

 プランニングとして、玄関で手洗いや着替えができる「チェンジングルーム」の提案では、外からの汚染物質をLDKに入れないように配慮する。このほか、最新の「タッチレス設備」と「抗ウイルス建材」のアイテムや、家庭内感染の防止に配慮した「自宅療養配慮プラン」の提案も行う。自宅療養配慮プランでは、玄関からLDKを通らずに2階の寝室へ行ける独立した動線を確保している。寝室には洗面やトイレが備えられている。

 標準価格には、アメニティー換気システムⅣとエアミー2台が含まれている。電気料金は、アメニティー換気システムⅣが月額約600円、エアミーは月額約120~300円。

住宅での感染配慮を

 同研究所の野間賢所長(写真)は、新型コロナウイルスの感染場所は住宅が37%(東京都のデータより)と非常に多いと説明し、「住宅での感染配慮がますます重要になってきており、今回換気を中心とした室内環境の向上に着目した。北海道大学の林基哉教授からもウイルスだけでなく、花粉症やPM2.5に対しても、換気や空気清浄が有効だとアドバイスをいただき、開発を進めた」と話した。

 続いて、同社の住生活研究所の河崎由美子所長は、「健康と空気に関する暮らし調査」の報告を行った。対象は、全国の戸建て住宅に住む1023人。「コロナ以降の健康に対する価値観では、『家族が風邪や病気のときは別の部屋にいたい』が86.6%と高いニーズがある。生活者は健康や空気に高い関心がある一方で、空気をきれいにしたいが防犯や花粉が気になるので、『窓を開けずに済むのが理想的だ』が64.3%などの結果が出ている。健康意識やきれいな空気、換気への関心への高まりが明らかになった」と話した。

 商品開発部の漆原慎課長は、「普段の生活や来客時、家族に病人が出た時などライフシーンに合わせ、家じゅうの空気をコントロールすることで顧客の健康に貢献する。ポストコロナのスタンダードとしていきたい」と話した。