DXや新常態対応を重視 国交省 新たな住生活基本計画案を提示

住生活基本計画メインイメージ

掲載日:2021/02/08

 国土交通省は1月18日に社会資本整備審議会住宅宅地分科会の第54回会合を開き、新たな住生活基本計画(全国計画)の素案を公開した。住宅を取り巻く環境変化を踏まえ、DXの進展や新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした新たなライフスタイルへの対応についても施策方針を示し、3つの視点に基づく8項目の目標として整理した。

 同分科会は昨夏、今回の同計画見直しに当たって、住宅政策の課題について「居住者」「街づくり」「ストック」「産業・新技術」の4つの視点を提示。これを基に、その後の社会情勢も踏まえて検討を行い、「社会環境の変化」の視点を追加。併せて既存の4分類を整理し、「居住者・コミュニティ」「住宅ストック・産業」の2つの視点に集約して、施策方針と成果指標のあり方を定めた。

 「社会環境の変化」の視点から設けた目標は2つ。1つは「『新たな日常』やDXの進展等に対応した新しい住まい方の実現」で、コロナ禍におけるライフスタイルの変化や、住宅関連分野におけるデジタル化などへの対応を、これまで以上に重視した形だ。もう1つは、「頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保」。住宅のハード性能だけでなく、立地や開発規制、移転誘導など総合的な観点から災害対応力の向上を図る。

 そのほかの視点も含め、各目標についての成果指標も設定。同会合では委員から、「DXに関する指標を設定しては」(竹中宣雄委員・住宅生産団体連合会副会長)、「コロナ禍により一層重要性を増す、家賃低廉化についての指標も必要」(奥田知志委員・NPO法人抱樸理事長)といった意見が挙がっていた。

 また賃貸住宅管理業法の制定を踏まえ、「管理業者の活用」(塩見紀昭委員・日本賃貸住宅管理協会会長)の記載を求める意見もあった。

 同分科会はこうした議論に加え、1月20日から2月9日までパブリックコメントを実施。その結果も踏まえて2月に同計画の最終案を詰め、3月の閣議決定を目指す。