「温度差のない家」を建てるためのポイントは?

掲載日:2016/01/28

更新日:2020/07/03

住環境について考えるとき、「室内の温度差」はとても重要なポイントです。室内の温度差が大きいと、「リビングでは暑いけど、寝室では寒い」というふうに、家の中で過ごしやすい温度を保つのが難しくなります。

また、単に過ごしやすさの問題だけでなく、健康への影響も忘れてはいけません。大きな温度差は、疲労やヒートショック現象を引き起こす原因になってしまうからです。

今回は、

  • 今の住まいは部屋ごとに温度差があり疲れてしまう
  • 高齢の家族がいるので、室内の温度差をなくして健康に過ごしたい

という方のために、「温度差のない家」を建てるためにはどのようなことに気をつけるべきかをご紹介しましょう。

温度差縮小のカギは、断熱化と気密化

「温度差のない家」を実現するためには、建物の断熱化と気密化を行わなくてはなりません。

建物の断熱化というと、壁の間に断熱材を充填するような方法を想像するかもしれません。しかし、温度差のない家を実現するためには、そうした方法では不十分です。室内温度差縮小のためには、「建物丸ごとの断熱化」が必要になります。建物の一部だけが温まるという状況では、温度差が生じてしまいやすいからです。

建物を丸ごと断熱化する方法には、構造体ごと建物を断熱材で覆う「外断熱工法」、建物の床を断熱する代わりに基礎から断熱する「基礎断熱工法」、直射日光を浴びる屋根を断熱する「屋根断熱」といったものがあります。

「気密化」とは、建物の隙間をなくすことです。窓やドアといった開口部の隙間に充填剤を入れるのがシンプルな方法でしょう。また、工場生産方式により、均質化された材料で建てられた家は、隙間ができにくいため気密化に適しています。

「温度差がゼロの家」は存在しない

「温度差のない家」といっても、「完全に、家中の温度を1℃の違いもなく統一する」ことは事実上不可能です。たとえば、どの家にも直射日光が当たる日向と、そうでない日陰があります。日向と日陰では、当然ながら温度を同じに保つことはできません。また、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に移動する性質を持っています。そのため、通常2階建ての家では2階の温度は高く、1階の温度は低くなってしまうのです。

こうした太陽光や空気の性質による温度への影響は、軽減させることはできても完全に防ぐことはできません。ですから、「温度差のない家を実現する」こととは、実際には「室内の温度差を一定以内に抑える」ことを意味しているのです。

部屋ごとの温度差は5℃以内が目安

目安としては、「外気温と室温との差は7℃以内」、「部屋ごとの温度差は5℃以内」に抑えることを目指すとよいでしょう。その程度であれば、温度差が原因で生じる病気を予防し、温度差による疲労を軽減することができます。

もちろん、目安となる数値以上に温度差を小さくすることは可能です。建物の断熱化と気密化のためにさらに多くのコストを費やせば、より温度差は縮小していくでしょう。完全に温度差をゼロにすることは無理でも、部屋ごとの温度差を1℃程度まで抑えることは不可能ではありません。

しかし、そこまでコストを費やす必要があるのかどうかは慎重に考えてください。「温度差のない家」をつくるそもそもの目的は、家族の健康を守ることです。室内温度差が5℃以内に収まれば、その目的を達成することができます。あとは、冷暖房などで温度を調節すれば、快適でしょう。温度差のない家づくりを進めるときは、どこまでお金をかけるべきか、コストパフォーマンスを考えながら計画を立てていきましょう。

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