家の寿命を伸ばす鍵は、メンテナンスと将来への備えにあった

工具類

掲載日:2015/11/02

更新日:2020/07/03

「家の寿命」は何年くらいかご存じでしょうか?実は、住まいは長持ちする工夫さえすれば、100年以上に渡って住み続けることも可能です。

  • 建ててから数十年で家を建て替えなければならなくなってしまった

なんていう事態は避けたいもの。

  • 家族に世代を超えて住み続けられる家を残したい

と願う人は多いでしょう。家の寿命を伸ばすためには、いったいどのような取り組みをしていけばいいのでしょうか?

戦後日本では住宅品質へのこだわりが十分でなかった

海外では100年以上に渡って住み続けてられている住宅が少なくありません。ひるがえって日本を見てみると、住宅の平均寿命は30年程度といわれています。なぜ家の寿命にこれほどの違いが生じるのでしょうか?

理由のひとつとして、かつては「品質の良い住宅が少なかったこと」が挙げられます。戦後、焼け野原となった日本では、全国で住宅建設が一斉に進められました。そのため、技術力が充分でない業者が突貫工事で建てた建物が多かったのです。

家の寿命を伸ばすには、メーカーの「独自保証」に注目

しかし、現在ではそうした状況は既に解消されています。現在のハウスメーカーの技術力と品質へのこだわりは、戦後間もないころの業者とは比較になりません。また、家を長持ちさせるための取り組みとして、多くのメーカーが注目しているのが、「メンテナンス」。住宅は通常、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称、品確法)」によって、建設後10年間の瑕疵保証が義務づけられています。瑕疵保証とは、「設計時に約束した品質や性能を満たせない状態になった場合の保証」のこと。要するに、災害などによって家が破損してしまった場合、修繕して元の状態に戻すことを約束しているのです。

大手のハウスメーカーでは、瑕疵保証よりさらに長期の保証を独自に実施している会社も少なくありません。20年、あるいは30年といった長期に渡り、定期的なメンテナンスと修繕を行なってくれるのです。保証の期間や内容は、メーカーによって異なるため、施工業者を選ぶときはメンテナンスに注目すると、家の寿命を伸ばすことにつながります。

ライフスタイルの変化を計算した家造りを

日本にある家の寿命が短いもう一つの理由として、「ライフスタイルが変化して家が住みにくくなる」ということが挙げられます。たとえば、「子どもが大勢いるから一軒家を建てたけど、子どもが独り立ちしてしまい、夫婦だけでは家が広すぎて使いづらくなってしまった」というようなケースです。家の間取りがライフスタイルに合わなくなってしまえば、寿命が尽きていなくても建て替えや売却を検討しなくてはならなくってしまうでしょう。

人は年齢や家族構成によって、ライフスタイルは少しずつ変化していきます。「住みにくくなったから、まだ住める家を手放す」といった事態を避けるためには、あらかじめ「将来のリフォームを意識した設計」を家に組み込んでおく必要があるでしょう。

ひとつの方法として、「スケルトン・インフィル」という考え方があります。スケルトン・インフィルとは、建物の「構造」と「間取り」とを分離する考え方です。このとき、建物の構造とは柱や壁などを意味し、間取りには内装や設備なども含まれます。

スケルトン・インフィルの考え方を取り入れた家を建てておけば、リフォームの際「構造」には手を加えず、「間取り」だけを手軽に変更することができます。結果的に、ライフスタイルに合った住みやすい間取りに変更しやすくなります。

建設時から「間取り」に対する考え方を組み込んでおくことで、住宅の寿命を大きく伸ばすことができます。ぜひ覚えておきましょう。