住宅づくりでできる騒音対策の工夫

見ざる言わざる聞かざるのサル

掲載日:2015/10/05

更新日:2020/07/03

  • 近所の騒音が気になる
  • 室内の音が外に漏れていないか気になる

こんな悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。住環境を考えるとき、「音」にまつわる問題をどうするのかは重要なポイントです。静かな環境で穏やかに暮らすためにも、室内の防音性を高める工夫は欠かせません。 不必要な音の出入りを遮断するために、家造りでどのような工夫ができるでしょうか。

騒音トラブルの解決には遮音・防音・防振が有効

「音を防ぐ」といっても、実際にはおおまかに3つの方法があります。音を跳ね返し侵入を許さない「遮音」、音のエネルギーを吸収し影響を弱める「防音」、そして音によるものの揺れを防ぐ「防振」の3つです。 遮音のためには、壁や床、天井などに用いる素材を固くて比重の大きいものにする必要があります。頑丈で強固なものほど、よく音を跳ね返すからです。 一方、防音には空気を多く含んだ素材を用いるのがいいでしょう。音のエネルギーが素材と空気によって形成される層で弱められるからです。 防振には、振動を吸収する、柔らかくて弾力性に富んだものが向いています。振動を変形によって吸収し、外部に伝わるのを防いでくれるからです。

石こうボード・グラスウールなどの素材が役に立つ

では、遮音・防音・防振には、具体的にどのような素材が効果を発揮するのでしょうか。

遮音によく用いられているのは石こうボードです。オフィスの天井などでは、よくむき出しのまま使われているので、目にしたことのある方も多いでしょう。石こうを板状に伸ばし、特殊な紙で挟んだ素材です。遮音性能に優れるほか、耐火性が高く、加工しやすいという特徴があります。

防音には、グラスウールやロックウールなど繊維系の素材を用いられます。グラスウールはガラス繊維を、ロックウールは玄武岩などの鉱物繊維をそれぞれ加工し綿状にしたものです。綿状なので、空気を多く含んでいます。この空気の層によって、音を弱め、伝わりにくくしてくれます。

防振には、ゴムやコルク、畳などの素材が役立ちます。室内にオーディオルームやピアノ室などを造ろうと考えている方は、壁や天井にコルクを用いたり、ゴム製の制震シートを貼るなどの工夫が有効です。

適切な騒音対策が、円満な家庭環境を実現する

騒音対策をきっちり行っていると、住まいが静かになり日々の生活が快適になる以外にも、さまざまなメリットを受けることができます。たとえば、家の中の音が外に漏れてしまうと関係ない人にプライベートな会話を聞かれてしまうことがあります。

また、二世帯住宅では、家庭内での騒音がトラブルの種になることもあります。たとえば、「子どもがうるさくておじいちゃん、おばあちゃんが眠れない」といったケースです。あらかじめ騒音対策が施された家造りをしておけば、こういったトラブルを未然に防ぐこともできます。

騒音に惑わされない静かな住まいを実現できれば、家庭の内外を問わず余計なトラブルを防ぐことができます。近隣皆さんや家族と仲良く暮らすためにも、騒音対策の方法はぜひ検討してください。