病気を予防し健康に役立つ、自然素材を使った家づくりとは?

掲載日:2016/02/03

更新日:2020/07/03

近年、急速な「健康意識」の高まりが見られます。家づくりにおいてもそれは例外ではありません。安全な素材を使い、健康に過ごせる家を建てたいという希望は日に日に強くなっています。

そうした流れの中、特に注目されているのが「自然素材を使った家」です。自然素材とは、木や漆喰、珪藻土のように、元々自然界に存在する素材のこと。人工物ではないので、人体に優しい素材として注目されています。

今回は、

  • アレルギーの家族がいるので、十分に配慮した家を建てたい
  • 木など、自然のぬくもりを感じられる家に憧れている

という方々のために、自然素材を使った家づくりについて考えてみたいと思います。

自然素材のメリット

自然素材最大のメリットといえば、人に優しいことでしょう。建物が原因で起きる健康被害としては、化学物質アレルギー及びシックハウス症候群などが有名です。これらの症状を引き起こす原因のひとつとして、住宅の建材に含まれる人体に有害な化学物質の存在があります。自然素材にはそうした化学物質やシックハウス症候群の原因物質が素材に含まれていないため安全です。

自然素材のもうひとつの魅力は、「自然のぬくもりを感じられる」ことです。人間は、木や草といった自然に囲まれていると自然に気持ちがリラックスしてきます。木目や珪藻土の壁、柱などに囲まれた室内で暮らすことが気持ちを落ち着け、日々のストレスを緩和する効果をもたらすのです。素材表面の質感が年月とともに変化していき「味がある佇まい」になるのを見て楽しむのもいいでしょう。

自然素材のデメリット

自然素材にはデメリットもあります。一番の難点は材料費が高くなってしまうことです。一般的な建材を使わず、すべて自然素材でできた家を建てようともなると、通常よりもかなりコストが増えてしまうことを覚悟しなければなりません。また、工事そのものが難しくなることから、工期も長くなってしまうことでしょう。

また、自然素材の家は掃除・手入れの手間がかかります。たとえば、無垢材の床などは一度汚れがついてしまうと落とすのになかなか難儀します。合板フローリングとは異なり、無垢材の表面は時間の経過とともにデコボコしてくるため、毎日の雑巾がけも面倒になってくるでしょう。

自然素材の家を建てる時は、メーカー選びが大事

ここまで、「自然素材=安心」と紹介してきましたが、それはあくまで一般的な建材と比較した場合の話です。「自然素材さえ使えば、アレルギーやシックハウスといった健康被害を完全に予防できる」というわけではないので注意してください。

たとえば、漆喰や珪藻土などには、材料のつなぎとして人工物が添加されている場合があります。また、無垢材を使って家を建てたとしても、材料を固定するための接着剤には人工物が使われることもあるので油断できません。

また、自然素材そのものが原因で健康が損なわれることもあります。あまり知られていませんが、「木の香りアレルギー」という自然素材である木が原因で起きる健康被害などがいい例でしょう。自然素材がもたらすリラックス効果も、程度が過ぎると逆効果になってしまうことも。たとえば寝室などは、完全に木目に囲まれていると逆に疲れてしまい、安心して眠れなくなってしまいます。また、自然素材は季節や年月の変化で伸び縮みするため、すきま風などが起こりやすくかえって健康が損なわれてしまうようなことも考えられるのです。

このような事態に陥らないために、家づくりを依頼するメーカーは慎重に選んでください。大事なのは「どれだけ自然素材をたくさん使っているか」ではなく、「どんな信念、ポリシーに基いて家づくりをしているか」ということ。自然素材は、あくまで材料に過ぎません。材料をうまく活かすためには、どのような想いを持って家づくりに臨んでいるかが最も大事なことなのです。