家事がしやすい家を実現する動線計画の立て方

掲載日:2015/10/05

更新日:2020/07/03

「家事がしやすい家」は忙しい日々を送るみなさんにとって、理想の家といってもいいでしょう。家事のしやすさを考えるうえで、導線の長さは重要な意味を持っています。

  • 部屋から部屋への距離があり、移動が多い
  • 洗濯機から物干しまでの距離が長い

動線が長いために家事がしにくく、苦労している方は少なくないでしょう。しかし、間取りの設計と同じように、動線の設計は素人には難しいもの。家事動線を考えた家づくりとはいったいどのようなものなのでしょうか?

動線計画は、動線同士の交差を考え始めるとまとまらない

導線を考えるときに難しいのは、動線が交差する場合です。たとえば、リビングと寝室を行き来する動線に対して、キッチンとリビングとを行き来する動線が垂直に交わっているとしましょう。「寝室に行く人とキッチンに行く人がたびたびぶつかってしまうのではないか」と不安になる方もいると思います。とはいえ、家庭内のすべての動線がぶつからないようにするのも不可能です。

「どの動線を優先させればいいのか。この導線とその導線はクロスしていても大丈夫か」といったことに頭を悩ませて、考えがまとまらない方も多いのではないでしょうか。

動線計画の基本は、行き来する部屋同士を近づけること

実は、動線計画を立てる場合、もっとシンプルに考えて「家事がしやすい家」をつくることは十分に可能なのです。ポイントは、家事をするときに行き来する部屋と部屋とを近づける、ということです。

たとえば、代表的な家事といえば炊事と洗濯が挙げられます。炊事で行き来する部屋はキッチンとリビング、洗濯で行き来する部屋は脱衣所と物干しスペース、そして衣服の保管場所です。行き来する部屋と部屋を近づけるわけですから、この場合はリビングとキッチン、そして脱衣所・物干しスペース・衣服の保管場所をそれぞれ近い間取りにすればいいということになります。

物理的な距離が近づけば、必然的に動線も短くなります。また、部屋を隣接させることが不可能であれば、距離を近づけるだけでもOK。この方法ならごちゃごちゃとした動線同士の絡み合いを考えなくてもいいので、シンプルに動線計画を立てることができます。

余暇時間が増えるため、リビングの快適さにも気を配りたい

家事が楽になると、必然的にリビングで過ごす時間が以前よりも長くなるはずです。自然と家族同士のコミュニケーションが増え、会話の多い明るい家庭になることが期待できます。

リビングで過ごす時間が増えるのですから、できることなら安全な素材を使った、快適なリビングを設計しておきましょう。たとえば、無垢材や漆喰などの自然素材を使ったリビングをつくれば、家族の健康を守ることにもつながります。特に、小さなお子さんがいるご家庭では自然素材を多く使った家づくりをおすすめします。

家事がしやすくなることで、家での過ごし方にも変化が生じるのです。その変化をあらかじめ見越しておくと、単に利便性が高いだけではない、住み心地の良い家を実現することができるでしょう。