光熱費が安くなるだけじゃない、家庭用蓄電池の真のメリットとは?

掲載日:2015/12/22

更新日:2020/07/03

近年、「家庭用蓄電池」を設置する家庭が増えてきました。しかし、詳しい機能を知らない方も多いのではないでしょうか? なんとなく「エコに役立ちそう」「光熱費が削減できるのでは」といった漠然としたイメージで捉えている方もたくさんいると思います。

そこで今回は、

  • 家庭用蓄電池で光熱費を減らしたい
  • 環境にやさしい設備を導入してエコに貢献したい

という方のために、家庭用蓄電池のメリットとデメリットをご紹介しましょう。

経済的なメリットをあらかじめ予想するのは難しい

家庭用蓄電池の基本的な使い方は、「夜間に発電した電気を蓄えておき、昼、電気をたくさん使う時間帯に使用する」というものです。通常、電気料金は消費量が多い昼間は高く、消費量が減る夜間は安く設定されています。そのため、「昼の電気料金−夜の電気料金 の差額分だけ光熱費を削減できる」といわれているのです。

たしかに、家庭用蓄電池で光熱費を削減できることは事実ですが、ひとつ問題があります。それは、毎月の光熱費削減額が決まっているわけではないということです。

たとえば、住んでいる地域や契約内容によって、電気料金はそれぞれ異なります。さらに、毎日どれくらい電気を使うかも家庭によって異なり、一定ではありません。そのため、「月々いくら光熱費が安くなるから設置しよう」というふうに、リターンを見込んで設置するのが難しいのです。

家庭用蓄電池を設置するための初期費用は決して安くはありません。経済的なメリットにばかり注目していると、「大きなお金をかけたのに、思ったほどメリットを実感できない」などという事態に陥ることも十分考えられるのです。

家庭用蓄電池の真のメリットは、「災害への備え」

家庭用蓄電池の「真のメリット」は「災害への備え」です。電力を蓄えておくことができるので、災害などで電線が寸断されてもしばらくの間、電力供給を維持することができます。また、昼間蓄えた電気を使うことで、電力消費のピークカットに貢献することも可能です。直接自分の利益になることではありませんが、社会全体に貢献できるという意義があります。

太陽光発電と併用するべきか否か

家庭用蓄電池と相性のいい設備に、太陽光発電があります。太陽光発電は太陽の光で電気を作り出すことができますが、夜間は発電することができません。一方、家庭用蓄電池は電気を一時的に蓄えておき、「後で使う」ことが可能です。太陽光発電で生み出した電気のうち、使い切れなかった分を家庭用蓄電池に蓄えておけば、光熱費削減の効果はより高まります。発電量が多いときには、売電して利益をあげることもできるでしょう。

しかし、メリットが大きい分、デメリットもあります。家庭用蓄電池に加えて太陽光発電の設置費用が必要になるため、初期費用がかさんでしまいます。

また、太陽光発電と家庭用蓄電池を併用する方法は、「ダブル発電」と呼ばれています。ダブル発電の場合、太陽光発電単体で使用するときよりも売電価格が低く設定されてしまうため、思っていたほど売電利益が得られないということも考えられるでしょう。

「省エネ」という観点から見た場合、家庭用蓄電池と太陽光発電の組み合わせには確かに魅力があります。しかし、併用することで経済的なメリットが必ずしも増加するとは断言できません。家庭用蓄電池の採用を考えるときは、経済的に得するばかりを目的とせず、

  • 災害への備えにどれだけ力を入れるか?
  • 省エネで地球環境維持にどれだけ貢献するか?

この2点をベースに考えをまとめるといいでしょう。

家庭用蓄電池や省エネ設備を新築住宅に導入することで、補助金の対象になった事例もあります。皆様のご自宅でも、上手に取り入れられるといいですね。