注文住宅の保証制度とは

掲載日:2020/10/02

更新日:2020/10/26

予算、デザイン、保証(アフターフォロー)……。ハウスメーカーを選ぶ際の基準には、様々なものがあります。なかでも保証内容は、「40年、50年と住み続けるのだから」と重要視する人が多いようです。そこで各社の保証内容の違いを理解する方法をご紹介しましょう。

住宅完成保証制度とは

注文住宅における保証内容には、大きく分けて次の3つがあります。

  • 完成保証内
  • 建物本体の保証
  • 設備の保証

完成保証とは、建物の工事期間中に施工会社が倒産した場合でも、最小限の負担での完成を保証するものです。

もし、着工後に建築依頼先が倒産してしまうと、以下のような事態が想定されます。

  • 着手金などすでに支払ったお金が戻ってこない
    建築依頼先が倒産してしまえば、着手金の回収は難しいでしょう。それどころか支払った額が、それまでの工事にかかった金額よりも少ない場合は、破産管財人から差額を請求されることさえあり得ます。
  • 工事を引き継ぐ別の施工会社を探さなければならない
    建て主は自力で続きの工事を引き継ぐ施工会社を探す必要があります。
  • 引き継ぎ工事による予算オーバーの危険
    他社に工事を引き継ぐ場合の多くは、現状把握の作業や足場の再設置などで追加費用が発生します。その結果、当初の予算をオーバーする可能性が高くなります。

このような事態を回避し、建て主が最小限の負担で住宅を完成させるために「住宅完成保証制度」というものがあります。これは建築依頼先の会社が、事前に保証会社へ保証料を支払うことで利用可能になります。ただし、保証料を工事費に含む会社もあるので、契約時に確認するようにしましょう。

なお、この制度はどの建築会社でも利用できるわけではありません。建築会社が事前にこの制度に加入している必要があるからです。加入の有無は建築会社へ直接聞いてみれば分かります。その際、加入していなければ必ず理由も確認しましょう。納得できる理由があれば問題ありません。

住宅完成保証制度とはイメージ

建物の構造体と雨漏りに対しての保証

次に建物本体の保証です。実は建築会社を問わず、すべての新築住宅に対しては、引き渡しから10年間の瑕疵(かし)保証責任が義務付けられています。

瑕疵とは、欠陥のことです。その対象部位は次の2つになります。

  • 構造上主要な部位
    基礎、土台、柱、壁など。
  • 雨漏りを防止する部位
    外壁、開口部、屋根など。

引き渡し後にこれらの部位に瑕疵が見つかった場合、施工会社は無料で補修しなければなりません。もし、10年間の間に倒産してしまっても、「住宅瑕疵担保履行法」によって保険金や保証金で補修してもらえることになっています。

つまり、引き渡し後10年間は、どこのハウスメーカーで家を建てても同様の保証を受けることができるのです。そこで心配なのが10年を過ぎた場合です。この部分で各ハウスメーカーの保証制度の特徴が出てきます。

住宅の各部位の多くは、10年以降に不具合が発生してきます。たとえば、外壁や屋根の塗り替え時期の目安は、10年目から15年目です。このときにメンテナンスを怠ると、雨漏りなどの不具合につながります。

このようなことから、ハウスメーカーの多くは、10年目以降も無料または有料で定期点検を行い、そこで見つかった不具合を補修することを条件に、保証を延長するプランを設けています。この点検費用や延長保証の期間は、ハウスメーカーによって異なり、なかには60年保証というメーカーもあります。契約前にしっかり確認しておきましょう。

給湯器などの設備は10年保証の対象外

給湯器やシステムキッチン、システムバス、サッシ、フローリングなど住宅設備や内装品は、上記10年保証の対象外になります。また、そのほとんどはハウスメーカーが保証するのではなく、各製造会社が保証します。保証期間の多くは2年前後です。ただし、製造会社によっては有料で延長保証する場合もあります。

これら保証期間や延長保証の有無を一社一社確認するのは大変でしょう。そこでハウスメーカーの担当者にこれらの製品の保証内容を一覧表のような形でまとめてもらい、建物の引き渡しの際に受け取るようにしておくことをお勧めします。

注文住宅の保証する部位は、各ハウスメーカー間でほとんど違いはありません。おもな違いは、点検が有料か否かと保証期間です。これらの点をしっかり確認し、まとめておきましょう。

また、保証内容も大事ですが、それよりも不具合が発生しないことが重要です。外壁塗装など各部位の耐用年数やメンテナンス費用は、各ハウスメーカーによって異なるので、そちらも比較、検討するべきでしょう。