共働き世帯は住宅ローンも夫婦で分担

掲載日:2020/10/02

更新日:2020/10/26

「立地」「デザイン」「設備」……。注文住宅はこだわればこだわるほど費用がかかるものです。多くの人にとってその費用は住宅ローンによってまかなうはずです。しかし、融資には限度額があります。しかし、「あと少し借りることができれば買えるのに」というときでも共働き世帯の場合は、夫婦二人で住宅ローンを組むという方法があります。これにはいくつかの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあるのでご紹介しましょう。

住宅ローンの借入限度額の目安

まずは住宅ローンの借入限度額の目安を考えてみましょう。ほとんどの金融機関では、融資できる限度額の目安として「返済比率」というものを用いています。これは年収に占める年間返済額の割合のことです。

たとえば、年収500万円前後の人ならば、返済比率の上限を35%前後としているケースが多いようです(金融機関によって異なる)。つまり、500万円×0.35=175万円が年間に返済できる限度と見るのです。

多くの金融機関は、この金額に将来の金利上昇を考慮して現状よりも高めの3%ほどの金利で融資限度額を設定します。したがって、年間175万円(月々14万5800円)の返済ならば約3,800万円です。この3,800万円が年収500万円前後の人にとっての借入限度額の目安となります。

夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組む2種類の方法

この借入限度額は、普段の生活に支障なく返済できる金額の目安なので、これを上回る融資を受けることはお勧めできません。しかし、共働き世帯ならば話は別です。夫婦がともに収入を得ているのであれば、二人合わせた収入をもとに、より多くの融資を受けることが可能になります。

夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組む方法には、「収入合算」と「ペアローン」の2種類があります。

「収入合算」

二人とも収入のある夫婦で1つのローン契約を結ぶ方法が収入合算です。この収入合算にも「連帯保証」と「連帯債務」の2種類があります。

○連帯保証

夫婦のうちどちらかが契約者となり、どちらかが連帯保証人となる方法です。

メリット
  • 契約者が返済中にお亡くなりになり、高度障害状態になれば団体信用生命保険によって残りの住宅ローンは完済される。
デメリット
  • 連帯保証人は団体信用生命保険に加入できない。
  • 連帯保証人は住宅ローン控除の対象外になる。
  • 家の所有権は契約者だけのものとなる。

○連帯債務

1つの住宅ローンに対して二人が契約者(債務者)となる方法です。たとえば、4000万円のローンを組んだ場合は、夫婦のどちらも4000万円の返済義務を負います。とはいえ、実際の返済割合は二人で自由に決めることができます。

メリット
  • 二人とも団体信用生命保険に加入できる。
  • 返済割合によって二人とも所有権を持つことができる(共有名義)。
  • 二人とも住宅ローン控除の対象者になる。
デメリット
  • 扱っている金融機関が少ない(フラット35など)
夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組む2種類の方法イメージ

二人で別々にローンを組む「ペアローン」

「ペアローン」

夫婦が別々に住宅ローンを組み、お互いに連帯保証人となる方法がペアローンです。たとえば、4000万円の家に対して夫が2000万円、妻が2000万円のローンを組むといった方法です。

メリット
  • 夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できる。
  • 二人とも住宅ローン控除の対象者になる。
  • 登記の按分割合によって二人とも所有権を持つことができる(共有名義)。
デメリット
  • 住宅ローンを組むための手数料や印紙代などが二人分かかる。
  • 団体信用生命保険はそれぞれが加入するので、どちらかに万一のことがあっても、もう一方のローンは残る。

離婚時の対応方法も考えておく

「収入合算」や「ペアローン」は、共働き夫婦が家を買う際に非常に有用です。しかし、二人でこそ成り立つ契約ゆえに注意も必要です。

たとえば、離婚時にどうするかです。夢のマイホームを購入するときに離婚など考えられないかもしれませんが、将来絶対にしないとは誰も言い切れないでしょう。もし、所有権が共有名義であったり、連帯保証人のまま離婚してしまうと、どちらかが家を売りたくてもどちらかが反対して売れない、といったことが起こり得ます。

連帯保証は離婚したからといって自動的に解除されるものではありません。そのため離婚した場合は、どちらかが単独収入によってローンを借り換えて連帯保証を解除するといった対策を講ずる必要があります。

「収入合算」にも「ペアローン」にもそれぞれデメリットがあります。トータルで考えると、連帯債務の収入合算がいいように思えますが、こちらは扱う金融機関が少ないという大きなネックがあります。また、たとえ連帯債務でローンを組める金融機関が見つかったとしても、そこの金利が低いとは限りません。もし、どちらかが派遣社員や自営業などで収入が不安定ならば、二人でローンを組まずに片方の収入は繰り上げ返済に回すという手もあります。

このようにどのローンを選択するのかの判断は非常に難しいので、自分たちで決めようとは考えず、まずはハウスメーカーの担当者と相談するのが得策でしょう。