国土交通省は1月18日に社会資本整備審議会住宅宅地分科会の第54回会合を開き、新たな住生活基本計画(全国計画)の素案を公開した。住宅を取り巻く環境変化を踏まえ、DXの進展や新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした新たなライフスタイルへの対応についても施策方針を示し、3つの視点に基づく8項目の目標として整理した。

 同分科会は昨夏、今回の同計画見直しに当たって、住宅政策の課題について「居住者」「街づくり」「ストック」「産業・新技術」の4つの視点を提示。これを基に、その後の社会情勢も踏まえて検討を行い、「社会環境の変化」の視点を追加。併せて既存の4分類を整理し、「居住者・コミュニティ」「住宅ストック・産業」の2つの視点に集約して、施策方針と成果指標のあり方を定めた。

 「社会環境の変化」の視点から設けた目標は2つ。1つは「『新たな日常』やDXの進展等に対応した新しい住まい方の実現」で、コロナ禍におけるライフスタイルの変化や、住宅関連分野におけるデジタル化などへの対応を、これまで以上に重視した形だ。もう1つは、「頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保」。住宅のハード性能だけでなく、立地や開発規制、移転誘導など総合的な観点から災害対応力の向上を図る。

 そのほかの視点も含め、各目標についての成果指標も設定。同会合では委員から、「DXに関する指標を設定しては」(竹中宣雄委員・住宅生産団体連合会副会長)、「コロナ禍により一層重要性を増す、家賃低廉化についての指標も必要」(奥田知志委員・NPO法人抱樸理事長)といった意見が挙がっていた。

 また賃貸住宅管理業法の制定を踏まえ、「管理業者の活用」(塩見紀昭委員・日本賃貸住宅管理協会会長)の記載を求める意見もあった。

 同分科会はこうした議論に加え、1月20日から2月9日までパブリックコメントを実施。その結果も踏まえて2月に同計画の最終案を詰め、3月の閣議決定を目指す。

 積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所(古谷知彦所長)は、「ニューノーマルの時代の住まい方に対する意識調査」を実施し、1月13日に結果をまとめ発表した。それによると20代は「技術的最先端の暮らし」や「職住一致」への関心が高く、また都会に限らず郊外や田舎など多様な場所での暮らしにも関心があるなど、今後、住宅取得の主役となる20代の「住まい方」に対する意識に特徴があった。

 「技術的最先端の暮らし」 「職住一致」、そして居住の拠点を2カ所以上に置いて過ごす(2拠点目の年間滞在日数が20日以上)暮らし方「デュアルライフ」など、〝新しい暮らし方〟に対し、最も高い関心を示したのは20代。中でも最も関心が高かったのは「技術的最先端の暮らし」で、20代43%、30代39%、40代36%、50代34%と、他世代と比較して4~9ポイント高かった。

 昨年来猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症は、様々な面で社会のあり方を一変させた。その大半が人々に困難を強いるものである一方、コロナ禍を奇貨としたポジティブな社会変化も確かに存在する。労働を〝場所〟と〝移動〟の制約から解放するテレワークの急激な普及は、そうした社会変化の筆頭に挙がるものの一つと言えるだろう。「デジタル化」を政府方針として掲げる菅義偉内閣の下、国もテレワーク関連の施策に注力。多様なオフィスのあり方や職住のボーダーレス化など、住宅・不動産業界への影響も大きなテレワークについて、国の20年度第3次補正予算や21年度当初予算などを中心に動向を紹介する。

 一口に〝テレワーク〟といっても、その形態や目的は様々。代表的なものは、居住する住宅内でパソコンとインターネットを用いて業務を行うスタイルだろう。職場における〝密〟を解消し、通勤による負担や感染リスクの削減を図るものだ。しかし、既存の住宅において必要十分なワークスペースが確保されているとは限らない。

 そこで国土交通省は21年度予算において、「『新たな日常』への対応」の一貫として、「住宅団地等におけるコワーキングスペース等の整備によるテレワーク環境の整備に対する支援を強化する」と明記。併せて、「新たな働き方への対応についても、優良な性能を有する先導的な住宅・建築物の整備」についても支援する方針だ。

 また、20年度3次補正により創設された「グリーン住宅ポイント制度」でも、間接的にテレワーク対応リフォームを支援する。直接、ポイント発行の対象としてテレワーク関連の基準を設けるわけではないものの、付与されたポイントの使途として、「テレワークなど『新たな日常』に対応した追加工事」が含まれている。詳細は今後公表される予定だが、ワークスペース設置工事のほか、「音環境向上工事」も対象となる見込みだ。

全国的な普及へ向け

 こうした、従来の居住環境をハード面から改善することでテレワークを後押しする政策だけでなく、テレワークの普及や定着へ向け、社会的な働き掛けを行う政策も打ち出されている。

 総務省が進める「テレワーク普及展開推進事業」がその代表格だろう。21年度予算では2億6000万円が計上されており、前年度比1000万円増額された。20年度は「テレワーク・デイズ」の呼び掛けや先進企業の表彰、セミナー等の開催、地方の中小企業等へのサポート体制構築といった施策を実施。20年東京五輪に伴う都内の混雑緩和などを主目的の一つとしてきた事業でもあるが、テレワークの全国的な普及へ向け、引き続き予算を投じる。

 更に、同事業は「地方移住促進」の一環としても位置付けられている。テレワークを最大限活用すれば、所属する企業の立地にとらわれず他地域に移住することも可能。既にある程度人口動態の変化も見られているが、コロナ禍を受けた〝都市部から地方への人口移動〟と地域活性化を促したい考えだ。

 もちろん、テレワークの場所は自宅に限らない。総務省は同じコンセプトで、地方におけるサテライトオフィス誘致を支援するマッチング事業に1000万円を計上。地方の課題である〝就業場所〟の確保へ向け、地方自治体とサテライトオフィス提供企業とのマッチング機会を設ける施策で、事業目的に「地方へのヒト・情報の流れの創出を更に加速」と明記されている。

 このほか、通信分野を所管する総務省として、「デジタル活用環境整備」分野においても「地域におけるテレワーク拠点の整備」(総務省資料より)を進める。20年度3次補正と21年度予算の合計で13億2000万円を確保した。居住地域だけでなく、年齢や障害の有無なども含めたデジタル格差の解消を図る施策だが、事業の一環としてサテライトオフィスの整備促進が見込まれている。

地方創生や労務管理でも

 更に、「地方創生」のためのテレワーク推進という姿勢を明確に打ち出しているのが内閣府だ。「地方創生テレワーク推進事業」として新規に1億2000万円の予算を計上。テレワークの推進を通じて地方への新たな人の流れをつくり、東京圏への一極集中是正を図る。

 また内閣府は前年に続き「沖縄テレワーク推進事業」も実施。既存施設の改修によるテレワーク施設整備等を支援し、県外企業の沖縄進出などを促す。コロナ禍により、観光産業の比重の高い沖縄経済は大きな打撃を受けているものの、新たな分野の事業者による既存不動産ストックの活用にも期待がかかる。

 直接的なハード整備に関わるものではないが、厚生労働省もテレワーク関連の予算を大幅に拡大。「『新しい働き方』に対応した良質な雇用型テレワークの導入・定着促進」の経費として、前年度の約9倍に当たる28億円を投じる。コロナ禍によるテレワークの急拡大を受け、雇用型テレワークについて労務管理の適正化を図る施策だが、よくも悪くも昨春以降「必要に迫られて急ぎ導入した」という企業は多いため、労務関連の体制整備は必須だろう。

 この課題については、政府の規制改革推進会議も20年12月に対応を提唱している。「テレワークの普及・促進のため、テレワークの特性を踏まえ、労働時間管理、作業環境の整備や健康管理等の労働安全衛生等も含めた労務管理全般に関する事項を充実」(同会議資料より抜粋)させることなどを目指し、20年度中に「テレワークガイドライン」の改定および関連措置の実施を行うこととしている。

 実際のところ、特に中小企業においてテレワーク下の労務管理は悩ましい問題だ。国のサポートなどによりそうした課題の解決が進めば、テレワークの更なる普及にもつながるだろう。

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 このように、21年度は国による多様なテレワーク施策が加速化する年になる。事業者にとっては、住宅の新築や改修のほか、テレワークに対応したオフィスの提供など、幅広いビジネスチャンスにつながる年にもなり得るだろう。行政の支援や補助を有効活用すると共に、市場のニーズも見極めながら的確に対応されたい。

 ミサワホームは21 年1月2日、ニューノーマルライフを豊かにするデザインを豊富に盛り込んだ企画タイプの木質系工業化住宅「SMART Brands WS(スマートブランド ダブリューエス)」を全国(北海道・沖縄県を除く)で発売した。企画タイプは10プラン。構造・工法は木質パネル接着工法。21年度の販売目標は200棟。

 同商品は、20年7月発売のニューノーマルライフを楽しむための住まい「プライムスマート」が好評なこと(20年度の受注目標300棟を年内に達成)を受けて、企画タイプ商品としてラインアップした。暮らしを豊かにするための3つのデザイン「ニューノーマルデザイン」を提案し、敷地条件を想定し10 プランで実現する。ニューノーマルデザインは、(1)ステイデザイン、(2)マイデザイン、(3)ライフデザインの3つ。(1)ステイデザインは、開放感のあるLDKや3つのワークスタイル提案、感染症予防、レジリエンス等、新しい日常を快適で安心して楽しむ住まい提案する。在宅時間が長くなる時代に、家族みんなが集っても開放的に過ごせるよう、LDKの大部分に約3メートルの高天井と、高窓を標準仕様とした。

 ワークスタイルは仕事に集中する専用個室の「フォーカス」、家族とつながりながら働くダイニング横のカウンターの「スイッチ」、頭を整理してひらめきを生むアウトドアリビングの「リチャージ」の3つから選択できる。

 感染症予防では、医療施設の設計手法を応用したゾーニングを採用。3つのゾーンに分け、空間動線や「タッチレス水栓」、衛生的な空気環境を整える「フロアセントラル換気システム」等を備える。

 加えて、制震装置「MGEO」やZEH対応の高断熱設計、太陽光発電システムを標準仕様とした防災・減災デザイン「MISAWA-LCP」も提案する。

 (2)マイデザインは、様々な敷地条件を想定して10 の基本プランから、家族構成や暮らし方に合わせて間取りをカスタマイズできること。在宅ワーク用に「ミニラボ」(1部屋)追加や、キッチンの位置を移動してLDKを広げることが可能だ。

 (3)ライフデザインは、同社の「新築住宅保証制度」による業界最長クラスの長期初期保証や、「維持管理保証制度」による保証延長を利用したエンドレスな保証、「既存住宅保証制度」により保証満了後も安心の再保証の3つの安心保証を用意している。

 日本経済社(東京都中央区)と住宅新報は20年12月16日、注文住宅の検討者を対象にオンラインセミナー「Withコロナの時代だからこそ、『注文住宅』を選びたい」を共催した。新型コロナウイルス感染症拡大が住宅に与えた影響をはじめ、IoTを活用した最新の住宅、販売手法などを、各分野の最前線で活躍する事業者が講演した(記事内の肩書や役職等は20年12月16日時点)。

 同セミナーはテーマに「最新動向と非接触時代の情報収集」を設定した。基調講演は「コロナが変えた住まいのかたち」を演題に住宅新報の桑島良紀編集長が、「在宅の長時間化が、注文住宅の建築・購入に与えた影響とは?」を演題に日本経済社コミュニケーションプランニング局の平井美英子局長が行った。

住まいに「第3の場所」

 桑島編集長は戸建て住宅のトレンド、大手ハウスメーカーの取り組み、コロナ後の住まいに求められるものを紹介。低金利、税制による支援、在宅の長時間化を踏まえ、住宅の広さを求める動きが郊外の需要喚起につながったことを説明。住まいはくつろぐ場であると共に、コロナ後の住まいでは自宅の中に仕事場を確保する必要性を指摘した。

 在宅の長時間化は家の中でより楽しく過ごすことが求められる。室内、ベランダのように室内とつながる空間を「第3の場所」(サードプレイス)的に活用し、「家の中でも気分転換ができる空間づくり」(桑島編集長)が現れたことも紹介された。

 最後に、立地、予算、設備、周辺環境の側面から広い視野を持って住まいを考えることが重要と締めくくった。

戸建て志向が鮮明に

 平井局長は新型コロナウイルスの感染拡大が「注文住宅の建築・購入計画」に与えた影響に関する調査結果を解説した。同調査の対象は1都3県で2年以内に注文住宅の建築・購入を検討している300人。調査時期は20年10月15日~18日。

 ポイントは(1)コロナ禍で膨らんだ一戸建てへの思い、(2)在宅勤務経験が住まいづくりの思いを後押し、(3)ステイホームで再注目された家族時間、快適空間、(4)住まい選びもハイブリッドがニューノーマル――となる。戸建て志向が鮮明化すると共に、検討者の約72%が「コロナ禍前に比べて、計画がより具体的になった」と回答している。

 調査結果を踏まえ、平井局長は「オンラインで情報収集や初期商談をした人ほど、実際に見学できる場所として住宅展示場が必要と回答している」と説明した。

 住まいづくりのポイントは(1)家族で過ごす快適な空間づくり、(2)家族と個人、オンとオフ、利便性と環境のバランスを見つける、(3)オンラインとオフライン、リアルとバーチャルの使い分け――となる。平井局長は「これからは住宅会社の商談やプラン提案も一度、オンラインで体験してもらいたい。ニューノーマルに適応した住まい探しにぜひトライしてほしい」と述べた。

テック4社がリレー講演

 各業界の第一人者による講演も行われた。講師はリビングテック協会事務局長の長島功氏、アクセルラボ取締役CTOの青木継孝氏、Housmart(ハウスマート)代表取締役の針山昌幸氏、スタイルポート代表取締役の間所暁彦氏だ。

スマート家電が豊かさ実現 時短、効率性に高い効果

 リビングテック協会の長島氏が掲げたテーマは「テクノロジーが実現する暮らしの豊かさ」。スマートホームはインターネットでつながるデバイスで家電を連携させ、利便性を向上させた住宅。スマート宅配ポストによる宅配の待ち時間削減、スマート浴槽によるお湯はりなどを紹介し、長島氏は「手抜きではなく、時短、効率性の面で非常に有効」と述べた。

 スマートホームのショールームから実演を披露した後、長島氏は「インターネットでつながることで、今までアナログで行う必要があったことの自由度が上がり、いろいろな方向で操作ができるようになる」と述べ〝おうちのアップデート〟も提案した。

スマートホームの導入で3つの効果

 アクセルラボの青木氏の演題は「スマートホームで実現する快適な生活」。スマートホームの導入では(1)ホームオートメーション(日々のルーティンを自動化し、快適に暮らす)、(2)ホームセキュリティ(宅内状況を遠隔でモニタリングし、安心して暮らす)、(3)見守り(子供、ペット、シニア世代の生活を遠隔で見守る)――などの効果を見込む。

 青木氏は「スマートホームサービスをより便利に利用するためには、多くの機器と連携していくことが非常に重要。連携できる機器が多ければ多いほど、生活の中の様々なシチュエーションに適した機能を利用できる」と説明する。例えば、人の動きを検知するモーションセンサー、部屋の温度を検知する環境センサーがあれば、室内に人がいて、室温が低いときだけ、自動的に暖房がつくというコントロールが可能だ。

営業マンとの新たなコミュニケーション

 ハウスマートの針山氏は「コロナ禍における住宅検討者と営業マンの新しいコミュニケーション手法」を紹介した。針山氏は「お客様のニーズが変わってきている。オンライン内見、ウェブを通した相談へのニーズが大きい。不動産業界も変わる必要がある」と説明した。

 住宅検討者による家探しのポイントはオンラインでの打ち合わせ打診。針山氏は「サービスの概要や会社の特徴を尋ねる際に、家づくりの方向性、そして信頼できる担当者を見つけることが重要」と述べる。営業マンとの相性が重要であり、特に営業マンの事務処理能力やビジネススキルを確認することは大事だという。

業界の課題解決にIT活用がマッチ

 スタイルポートの間所氏はマンション販売におけるIT活用をテーマに講演した。

 同社はVRを基盤技術としたマンション販売支援ツールのウェブサービス「ROOV(ルーブ)」を提供。同サービスの採用数は伸長しており、間所氏は「新しい販売の手法として採用が進み出した」と現状を説明、マンション業界が抱えているモデルルームの費用、販売員のトレーニングコストといった課題の解決にマッチしたと分析する。

 IT活用について、間所氏は「すべてのディベロッパーが何らかの形でオンラインを組み合わせて接客を行う必要があると考えている」と指摘した。

 積水ハウスは12月14日、ウイルスや花粉など住まいの汚染物質に配慮し、新しい生活様式に対応する戸建て住宅の次世代室内環境システム「SMART-ECS (スマート イクス)1」の発売を開始した。同日、京都府木津川市の同社総合住宅研究所において、「スマート イクス」のメディア向けの記者発表・実験デモ体験会を開催した。販売地域は全国(沖縄県を除く)。標準価格は43万円(税抜)から。販売目標は2400棟/年(戸建て住宅全商品への追加提案)。

 「スマート イクス」は、既存の商品とプランニングを組み合わせて、窓開け換気だけに頼ることなく、温度変化を抑えながら、換気・空気清浄をし、きれいな空気環境を実現する。

 熱交換型換気システム「アメニティー換気システムⅣ」(8月発売)の給排気口の配置を工夫することで、LDKなどの生活空間に新鮮な外気を取り入れて風上とし、玄関などの非生活空間を風下になるように「換気ゾーニング」して、全体の空気の流れをコントロールする。熱交換型換気で、換気による熱損失を約80%抑制して快適性や省エネ性を維持しながら、商業施設等で求められる1人当たり30m3/h以上の換気量を住宅全体で確保する。

 LDKには、天井付空気清浄機「エアミー」(15年発売)を設置し、空気中の微細な汚染物質を24時間換気システムのみの場合と比べ、約2~5倍素早く除去する。

 21年4月からは住宅業界で初めて住宅設計用CADと連携した邸別換気解析システムを構築し、顧客ごとに換気シミュレーション動画の提案も開始する。設計段階からきれいな空気の広がり方や通り道を見える化し、顧客に自分事として捉えてもらう。

 プランニングとして、玄関で手洗いや着替えができる「チェンジングルーム」の提案では、外からの汚染物質をLDKに入れないように配慮する。このほか、最新の「タッチレス設備」と「抗ウイルス建材」のアイテムや、家庭内感染の防止に配慮した「自宅療養配慮プラン」の提案も行う。自宅療養配慮プランでは、玄関からLDKを通らずに2階の寝室へ行ける独立した動線を確保している。寝室には洗面やトイレが備えられている。

 標準価格には、アメニティー換気システムⅣとエアミー2台が含まれている。電気料金は、アメニティー換気システムⅣが月額約600円、エアミーは月額約120~300円。

住宅での感染配慮を

 同研究所の野間賢所長(写真)は、新型コロナウイルスの感染場所は住宅が37%(東京都のデータより)と非常に多いと説明し、「住宅での感染配慮がますます重要になってきており、今回換気を中心とした室内環境の向上に着目した。北海道大学の林基哉教授からもウイルスだけでなく、花粉症やPM2.5に対しても、換気や空気清浄が有効だとアドバイスをいただき、開発を進めた」と話した。

 続いて、同社の住生活研究所の河崎由美子所長は、「健康と空気に関する暮らし調査」の報告を行った。対象は、全国の戸建て住宅に住む1023人。「コロナ以降の健康に対する価値観では、『家族が風邪や病気のときは別の部屋にいたい』が86.6%と高いニーズがある。生活者は健康や空気に高い関心がある一方で、空気をきれいにしたいが防犯や花粉が気になるので、『窓を開けずに済むのが理想的だ』が64.3%などの結果が出ている。健康意識やきれいな空気、換気への関心への高まりが明らかになった」と話した。

 商品開発部の漆原慎課長は、「普段の生活や来客時、家族に病人が出た時などライフシーンに合わせ、家じゅうの空気をコントロールすることで顧客の健康に貢献する。ポストコロナのスタンダードとしていきたい」と話した。

 ミサワホームは12月15日、耐震木造住宅「MJWood」ブランドの新商品として、ニューノーマルライフ対応の3階建て賃貸住宅商品「ALBIO MAISON UX(アルビオメゾン ユーエックス)」の販売を全国(北海道、沖縄県を除く)で開始した。

 同商品は、商業地域や中高層住居専用地域などの密集市街地において提案可能な防火性能を高めた3階建て賃貸住宅で、60分準耐火構造に対応している。

 ニューノーマルライフをより豊かにする3つのデザインとして、(1)ワークスペース提案、(2)ウェルネス提案、(3)品格漂うファサードと共用部の3つの提案を行っている。(1)では、リビングコーナーを壁で程よく仕切ったワークスペースを提案する。着席時には壁によって周囲が見えなくなり集中して仕事に専念することが可能なほか、リビングとのつながりも感じることができ、家事や子育てのすき間時間でスムーズに仕事を行うことができる。

 (2)では、感染症対策として「アパート用宅配ボックス」の設置や、コートフックと洗面室、コートクロークを同一動線上に配置した「ただいま動線」、フローリングに「抗菌処理フロア」を採用。

 (3)では、格調のあるシンメトリーなデザインを採用したほか、エントランスでは重厚なゲートデザインを採用し、プライバシーを守りながら品格の漂う都市部にふさわしいファサードを表現。ラウンジや廊下、階段は完全室内化を可能にし、内装は落ち着いた印象にすることで、上質な空間デザインを提案している。賃貸経営サポート体制では、ミサワホームグループが提供する賃貸住宅管理サポートシステムによって、最長30年間の一括借上を含め、空室対策や建物・設備の修繕などに対応する。

 このほか、鍵の紛失などのトラブル時に入居者からの電話を受け付ける「24時間コールセンター」や定期巡回・清掃、保証人代行システムサービスなどのサポートも用意している。

 ミサワホームは12月4日、耐震木造住宅「MJWood」ブランドの新商品「Season m(シーズンエム)」を全国(北海道、沖縄県を除く)で販売を開始した。ニューノーマルライフを豊かに楽しむための工夫やアイデア、複数のウイルス対策アイテムによる快適空間提案などを盛り込んでいる。本体参考価格は2489万円(税込)。

 同商品のモデルは、自由設計で東西反転を含む14プラン。住まいの中での時間をより豊かに楽しむ「職」「食」「飾」の3つの「SHOKUメソッド」を用意し、ライフスタイルに対応した仕事や勉強、食事、デザインなどをより楽しめる空間を提案する。

 「職」(Work method)では、(1)扉付きの個室のホームオフィス「フォーカス」、(2)ファミリーカウンターやオープンコモンズなど家族とつながりながら働く「スイッチ」、(3)マルチスペースの「リチャージ」の3つのワークスペースを選択できる。

 「食」(Healthy method)では、アイランドキッチンを中心に、食事時間をより効率的に楽しめる空間を提案。キッチンはLDKの一角に設計した「ファミリーカウンター」に隣接し、家事や子育ての隙間時間でスムーズに仕事を行える。このほか、食品ストックを収納する「ローリングストック収納」やウイルス対策の「タッチレス水栓」なども盛り込み、衛生的な室内環境を提供している。

 「飾」(Design method)では、抗ウイルス効果のある壁紙や抗菌仕様のフローリング、環境アレルゲンを軽減する玄関タイルなどを採用。更に、ドアのカギを閉めたままでも換気が可能な「採風玄関ドア」、配達員と対面せずに荷物を受け取れる「宅配ボックス」などもラインアップ。ファサードは、モールデザインを取り入れ、メリハリのある水平・垂直ラインを演出している。

 自由民主党と公明党は12月10日、21年度税制改正大綱を取りまとめ、公表した。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済情勢悪化への対応に注目が集まったが、住宅・不動産分野において焦点となっていた住宅ローン減税の延長・拡充や固定資産税負担の軽減措置については、国土交通省や業界団体の要望がほぼ受け入れられた形だ。また一部特例措置の拡充・創設要望等は実現が見送られたものの、延長要望については基本的に認められており、業界としてはひとまず胸をなで下ろした様子もうかがえる。

21年度税制改正の主な内容

住宅需要を下支え

 今回の税制改正では、コロナ禍と消費増税の影響により低迷の続く民間住宅投資を下支えするため、消費増税に伴う駆け込み需要・反動減対策として設けられた「住宅ローン減税の控除期間の3年間延長措置」を延長・拡充。コロナ禍対応として既に一度延長されている措置ながら、適用期間が今回更に1年間延長される形となる。対象は消費税率が10%の住宅。

 新築の場合は20年10月から21年9月末まで、建売・既存・増改築等の場合は20年12月から21年11月末までの契約も適用対象となる。また、いずれも22年末までの入居について可とする。同感染症の影響により入居が遅れたことの証明は求めない。

所得要件も設定

 更に、複数の団体が強く求めていた「床面積要件の緩和」も実現。現行は「50㎡以上」となっている面積要件を「40㎡以上」へと引き下げた。需要喚起と取得負担軽減を図る狙いだが、財源との兼ね合いも考慮し、40㎡以上50㎡未満の物件については「合計所得金額1000万円以下」と所得要件を設けている。

 贈与税非課税措置も同様に要件が緩和され、適用期限は21年末まで延長。また一部業界団体が面積要件と共に要望していた、「築年数要件の緩和」「2戸目住宅への適用」については見送られた。

 なお、ローン控除における「年末残高の1%」という水準については、22年度税制改正において、「1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定する」などの仕組みへと見直す方針を示した。「制度の適用実態として、借入金利(支払利息額)が控除率(控除額)を下回るケースが多い」という会計検査院の指摘を受けた課題であり、今回の論点の一つでもあったが、対応は来年に先送りされた格好だ。

固定資産税の負担増回避

 もう一つ、多くの業界団体等が最重点要望としていた土地の固定資産税評価替えに伴う対応については、負担が増大しないよう、既存措置の延長に加え新たな特例も設ける。21年度は3年に一度の固定資産税評価替えの年であり、その基準となる20年地価公示(同年1月1日時点)までの地価上昇に伴う負担増を抑える趣旨。コロナ禍の経済悪化や地価変動を考慮し、商業地をはじめ宅地や農地などすべての土地を対象とする。

 具体的には、地価が上昇した場合にも、21年度に限り課税標準額を20年度から据え置く特例措置を講ずる。地価が下落した場合には同措置を適用する必要はなく、そのまま納税額減少につながる。

 併せて、既存の「土地に係る固定資産税の負担調整措置」の適用期限を3年間延長。新規特例措置終了後の22年度以降も、20年地価公示を基にした急激な納税額の上昇は回避される見通しだ。

法改正への対応盛り込む

 先の通常国会で成立した法改正などには、新たな措置を設けて対応する。

 街の防災力向上を図る改正都市再生特措法に対しては、新規特例措置を創設。災害ハザードエリアから施設・住宅等を移転する際、移転先として取得する土地建物に係る登録免許税と不動産取得税を2年間軽減する。またマンション建替え円滑化法の改正に伴い、敷地売却事業における税制措置の対象を拡大すると共に、敷地分割事業も対象に加えた。

 「不動産特定共同事業で取得する不動産の流通税特例措置」は2年延長すると共に、適用対象に保育所を追加し、〝10年以内譲渡要件〟を撤廃するなどの拡充を行った。

各種特例は総じて延長

 そのほか、住宅・不動産業界が要望していた主な延長項目については、おおむね実現したと言ってよいだろう。

 例を挙げると、「買取再販に係る不動産取得税の特例」「土地の売買、所有権移転登記に係る登録免許税軽減特例」「都市再生緊急整備地域に係る課税特例」「Jリート・SPCが取得する不動産に係る登録免許税・不動産取得税特例」「地域福利増進事業に係る特例」「サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制」について、いずれも適用期間を2年延長。「土地等の取得に係る不動産取得税の特例措置」は3年延長する。

 一部団体は、所有者不明土地の発生抑制などへ向け、現在相続登記の義務化等について検討が進められていることを受け、「相続登記における登録免許税の廃止」についても要望。これについては「次期通常国会で関連法案を提出」する予定のため、22年度税制改正において必要な措置を検討することとした。

 政府は12月8日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う国内経済の悪化等への対応として、追加の経済対策を閣議決定した。趣旨は(1)同感染症の拡大防止、(2)ポストコロナの経済構造転換と好循環、(3)防災・減災・国土強じん化の3点。この中では、新たなポイント制度の創設をはじめ、住宅関連の支援策も複数盛り込まれている。政府は同経済対策を基に、21年度当初予算と一体的に20年度第3次補正予算の編成を行う方針。

 今回の経済対策では、医療体制強化や企業・個人への経済支援といった直接的な同感染症対策に限らず、デジタル化や脱炭素化の促進、国際競争力向上など、政府の注力する施策を幅広く盛り込んだ。事業規模は73兆6000億円程度を想定しており、国・地方の財政支出は32兆3000億円程度を見込む。

 住宅分野では、税制措置と共に「テレワーク対応や地方移住、脱炭素化などポストコロナにも対応する即効性のある支援策」を行うこととした。目玉施策として、需要喚起を図るため新たに「グリーン住宅ポイント制度」を創設。(2)で設定した個別分野のうち、〝グリーン社会の実現〟と〝民需の下支え〟双方に向けた施策と位置付ける。補正予算閣議決定から21年10月末までに契約した住宅が対象で、「新たな日常」等に対応した追加工事や商品に使用できるポイントを付与する。

 新築の場合、基本30万ポイント(ZEH等は40万ポイント)で、東京23区から地方移住する場合や子供3人以上の世帯等については最大100万ポイントとなる。そのほか一定の条件を満たせば、既存住宅の購入(30万ポイント)、賃貸住宅の新築(戸当たり10万ポイント)、持ち家・賃貸のリフォーム(戸当たり最大45万ポイント)にもそれぞれポイントを付与する。

 同様に、脱炭素化と需要喚起の観点から「既存住宅における断熱リフォーム・ZEH化支援事業」も進める。脱炭素化に絞った住宅施策では、省エネ性能の高い木造住宅等を普及促進。需要喚起としては、「住宅市場安定化対策事業(すまい給付金)」も盛り込んだ。更に住まい手の家計負担軽減のため、住居確保給付金の支給期間延長やセーフティネット住宅の家賃低廉化などの支援策も講じる。

スマートシティ化を支援

 (2)のうち、民間事業の後押しにより経済活性化を図る施策分野では、特に〝デジタル社会の実現〟に注力。スマートシティの構築・海外展開やスーパーシティ構想を推進し、「データ連携促進型スマートシティ推進事業」を実施するなど、街づくり関連の施策が複数並んだ。

 感染症対策を地方移住推進の契機と捉え、テレワーク関連の施策も進める。テレワーク拠点整備への支援のほか、地方創生の文脈から交付金や推進事業を行い、国有財産を活用したサテライトオフィス整備も支援する。

 また引き続き観光分野も重視。「Go Toキャンペーン」は継続する方針を明記し、併せて既存観光拠点の高付加価値化やワーケーションの推進といった事業も展開する。

 (3)については、別途「防災・減災、国土強じん化のための5か年加速化対策」を策定。建築物等における耐震化や津波対策支援を行うと共に、無電柱化や「流域治水」の促進など、既存施策の促進を図る。