毎月、住まいにかかってくるランニングコストの中でも、6月は住民税や固定資産税の負担が気になった方も多いのではないでしょうか。コロナ禍でまだまだ家計も日本全体の経済も見通すことが難しい状況ではありますが、2021年7月の【フラット35】金利動向を見ていきたいと思います。

2021年7月の【フラット35】金利

2021年7月の金利(フラット35)

今月の全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利は融資率9割以下、返済期間21~35年、機構団信を含めて1.33%となり6月から0.02%の引き下げ、融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.20%となり、同じく0.02%の引き下げとなりました。

ARUHI住宅ローンの実行金利一覧

建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHIフラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHIスーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。

2021年7月実行金利 ARUHIスーパーフラット

物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット5」(※団信込み)は1.12%。

物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6」(※団信込み)は1.16%。

物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.17%。

物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7」(※団信込み)は1.18%。

物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.19%。

物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8」(※団信込み)は1.20%。

物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.25%となっています。

物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット9」(※団信込み)は1.28%となっています。

まとめ

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。

3ヶ月連続で【フラット35】金利が下がり続けているわけ

2021年7月分の機構債の表面利率は3ヶ月連続で下がり、【フラット35】(買取型)の金利も3ヶ月連続で下がりました。

6月・7月の金利変動(表)

機構債の表面利率の下がり幅は0.03ポイントなので【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※下記に詳細を解説しています)からすると

【フラット35】(買取型)の金利も同じく0.03ポイント下がるのが自然なのですが、実際には0.02ポイントの引き下げとなりました。

このように機構債の表面利率と【フラット35】の変動幅は絶対に同じになるとは限りません。過去にも0.01ポイント程度の誤差が生じることは何度かあり、誤差が生じること自体は特に珍しいことではありません。

ただし、過去に誤差が生じたときには、金融市場の長期金利の急激な高騰によって住宅ローン利用者が高い金利を被らないように緩和する意図が垣間見えるものでした。この2021年6月から7月にかけての長期金利は低下傾向にあり、それほど急激な低下でもありませんでした。

そのため、今回の【フラット35】の金利の下げ幅が0.01ポイント少なかったことについては、住宅金融支援機構の留保利益を優先した決定だと思います。ただし、2021年4月から3ヶ月連続で【フラット35】の適用金利を下げており、住宅ローン利用者の金利負担はもともと小さく、今後も低金利が続くと見込んでいることの裏返しでもあります。

今の状況を作りだしている新型コロナウイルスについては、緊急事態宣言が終了し人流が増えてきたことに伴って、再び感染者が増加傾向になっています。ワクチン接種が進んでいるものの、東京オリンピックの開催がどう影響してくるかは予測が不可能です。引き続き、今後の見通しが読めない状況は続いています。

その点【フラット35】を取り扱う住宅金融支援機構は、急激な金利の上昇局面において利用者が影響を受けないように融資金利の上昇を抑える対応を取ることがあり、先行きの不透明なコロナ環境下において、金融変動の影響を比較的受けにくい安定した固定金利と言えるでしょう。

※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み

住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35(買取型)の資金調達の仕組み(図解)

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:ARUHIマガジン編集部

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2021年3月末から始まっているグリーン住宅ポイント。1戸当たり最大では100万ポイント(100万円相当)が付与される、これまでにないお得な制度ですが、家電品などのさまざまな商品に交換できると同時に、追加工事に充当することも可能です。追加工事とは、どんな制度、どんなメリットがあるのでしょうか。

新築住宅なら1戸当たり最大では100万ポイントに

グリーン住宅ポイント制度は、2019年の消費税引き上げ、20年からのコロナ禍による住宅需要の減退を抑制して、景気を刺激するために実施されています。図表1にあるように、新築住宅の建築や購入だけではなく、既存(中古)住宅購入、リフォーム工事や賃貸住宅の建築も対象になっています。

新築住宅の場合、長期優良住宅など高い省エネ性能を有する住宅であれば、1戸当たり40万ポイントで、3世代同居仕様などの一定条件を満たす特例の場合には1戸当たり100万ポイントになります。

これまでも何度か同様のポイント制度が実施されてきましたが、最大100万ポイントは例がなく、しかも中古住宅、リフォーム、賃貸住宅とポイントの対象も広く、さまざまな人にとってメリットの大きな制度といっていいでしょう。

グリーン住宅ポイントの対象と発行ポイント

図表1 ポイントの対象と発行ポイント(出典:国土交通省「グリーン住宅ポイント制度の概要」)

追加工事は申請などの手間ヒマがかからない

ただし2021年10月末までに建築請負契約や売買契約を締結して、ポイントの申請を行うことが条件であり、もうさほど時間は残されていません。新築住宅でも分譲住宅ならすぐにも契約が可能ですが、注文住宅だと何度も打ち合わせて詳細設計を決めてからでないと契約できないので、あまり余裕はありません。注文住宅を考えている人は、早めに行動したほうがいいでしょう。

とはいえ、契約が決まれば、申請などの手間ヒマはさほどかかりません。ポイントをどう活用するのかは、各種の商品に交換する方法と、契約した業者が提供する追加工事に充当する方法とがあります。商品交換の場合には、本人が申請して、本人がポイントを受け取るか、契約した業者に申請を代行してもらい、ポイントは本人が受け取る方法があります。一方、追加工事に関しては、契約した業者にポイント発行の代理申請をしてもらい、ポイントは工事業者が直接受け取ることになります。

つまり、追加工事の場合には、ユーザーはどんな工事を行うのかを指定するだけで済み、その他の手続きに関しては業者に任せ切りにでき、全く手間ヒマがかからないわけです。

追加工事交換の手順

図表2 追加工事交換の手順(出典:グリーン住宅ポイント事務局)

在宅勤務が可能なワークスペースを設置する工事など

では、追加工事ではどんな工事が可能なのでしょうか。詳細は図表3にある通りですが、大きくはコロナ禍に対応した新たな日常に資する工事、防災に関する追加工事に分類できます。

新たな日常に資する工事としては、屋内に在宅勤務が可能なワークスペースを設置する、そのためのWi-Fiの設置などの工事などが挙げられます。また、仕事に集中できるように、防音設備を設置する、コロナ禍対策のために換気設備を設置する、ドアを非接触で開閉できようにするなど、ウイルス拡散対策などを行うこともできます。

また、キッチンに自動的に洗浄するレンジフードを設置するなど、家事負担を軽減するための工事も新たな日常に資する工事に含まれます。

防災工事に関しては、このところ地震や豪雨、台風などの被害が続出しているため、それを防ぐための工事が対象になります。

具体的には、地震や台風などで停電になっても一定の電力を確保できる太陽発電設備や蓄電池の設置などが挙げられます。また、突風による屋根瓦や窓ガラスなどの飛散を防止する設備などもOKです。

(1)「新たな日常」に資する工事

図表3 グリーン住宅ポイントの追加工事の対象となる工事(1)「新たな日常」に資する工事(出典:グリーン住宅ポイント事務局)

(2)防災に資する追加工事

図表3 グリーン住宅ポイントの追加工事の対象となる工事(2)防災に資する追加工事(出典:グリーン住宅ポイント事務局)

追加工事として太陽光発電設備を設置する人が多い

実際に皆さんはどんな追加工事を行っているのでしょうか。制度がスタートして1ヶ月の段階での集計ですが、図表4にあるように、最も多いのは停電・断水対策で、次いで家事負担軽減に資する工事、空気環境向上工事が続いています。

トップに挙がった停電・断水対策の中身を見ると、太陽光発電設置が大多数を占め、次いで家庭用燃料電池(エネファーム)設置、蓄電池設置などが続いています。また、家事負担軽減に資する工事では、キッチン周りの設備の設置がトップで、それを家事負担の軽減に資する収納の設置、トイレ周りの設備の設置などが追っています。停電・断水対策では、太陽光発電設備が断トツですが、家事負担軽減に資する工事ではそんなに大きな差がなく、キッチン、トイレ、収納などに分散する傾向が見られます。

さらに、空気環境向上工事では、換気設備等の設置の比重が大きく、空気浄化作用のある製品の設置が続いています。

追加工事への交換の申請状況

図表4 追加工事への交換の申請状況(2021年4月末時点)単位:件(出典:グリーン住宅ポイント事務局)

独自に工事を依頼するよりも安くつく可能性が高い

こうした追加工事、実は前回の次世代住宅ポイント制度では認められていませんでした。商品交換にしか利用できなかったため、住宅業界では使い勝手が悪いという声がもっぱらでした。

というのも、家電品などの交換商品のポイント設定はメーカーなどの希望価格で決められており、量販店などで探せば、それより安く入手することが可能。ですから、消費者にとってはさほど魅力的に映らず、結果的に次世代住宅ポイントは予算を余らせたまま終了しました。

これに対して、追加工事は住宅メーカーや分譲する不動産会社などが大量に受注、部材などを大量に発注して設置できるので、コストダウンが図れるメリットがあります。単独で工事を依頼するより、安く頼める可能性があるのです。業界、業者にとっては売り上げの拡大につながり、消費者にとっても手間いらずで、安く発注できるメリットがあり、ウイン・ウインの関係になります。

消費者からすれば、多くの業者を回って調べる必要がなく、申請などの手間ヒマもかかりませんから、建築請負契約や売買契約の段階で、実際にどんな工事が可能なのか聞いて、上手に活用するのがいいのではないでしょうか。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:山下 和之

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近年、共働き世帯は増加の一途をたどっています。そんな共働き世帯が住宅取得を考える際、収入合算やペアローンを利用して、借入可能額を増やそうとする人もいますが、あまりお勧めはしていません。せっかく共働きなのですから、そのメリットを最大限利用して、ゆとりのある老後のための準備に力を入れるほうがよいのではないかと思っています。今回は、その理由について解説します。

共働き世帯の割合は約7割まで増加

内閣府の男女共同参画局がまとめた令和2年版男女共同参画白書の資料(図表1)を見ると、1980年以降、専業主婦世帯は着実に減少傾向にあり、共働き世帯が着実に増加傾向であることがわかります。

1980年当時は、共働き世帯というと3世帯に1世帯くらいで、専業主婦世帯のほうが2倍近く多かったわけです。その後、徐々に共働き世帯が増えていき、男女雇用機会均等法が制定された1985年以降、その増加ペースが速まります。

1990年代は、共働き世帯数と専業主婦世帯数の拮抗(きっこう)状態がしばらく続きますが、2000年代に入った辺りから専業主婦世帯の減少ペースが速まり、それに呼応するかたちで共働き世帯が増えていきました。

2019年の数値では、共働き世帯は専業主婦世帯の約2.14倍に達しています。全体の約68.1%、つまり7割近くが共働き世帯であるということです。

共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移(グラフ)

<図表1>共働き等世帯数の推移 出所:内閣府男女共同参画局「令和2年版男女共同参画白書」より

さらに、妻の就業時間別共働き世帯数の推移(図表2)を見ると、共働き世帯が増えているといっても、妻がフルタイムで働いている世帯の数は500万世帯弱で安定的に推移しており、1985年ごろから大きく変化しているわけではないことがわかります。

一方で、妻がパートで働いている世帯が、1985年の229万世帯から2019年の682万世帯へと、約3倍に増えています。つまり、近年、共働き世帯が増えてきたというのは、妻がフルタイムで働く世帯が増えたのではなく、妻がパートで働く世帯が増えてきたということがわかります。

バブル経済の崩壊以降、年功序列型賃金制度が過去のものとなり、会社員の給与は必ずしも勤続年数に応じて着実に増えていくものではなくなりました。現状維持であればまだマシですが、社会保険料負担の増加などで手取り額は減少し、子どもの成長に伴って教育費の負担は増加していく。妻も働かざるを得ないという状況で、妻がパートに出たというケースが多いのではないかと思います。

妻の就業時間別共働き世帯数の推移(グラフ)

<図表2>妻の就業時間別共働き世帯数の推移 出所:内閣府男女共同参画局「令和2年版男女共同参画白書」より

共働きのメリットと注意点

共働きの最大のメリットは、2人で協力してお金を稼げるということです。収入を増やせるだけでなく、夫婦の共同作業のような形を作ることができるのも、精神面でメリットがあると思います。どちらか一方の収入に依存しないで済めば、家計運営上のリスク(勤務先の破綻、リストラ、長期入院など)を小さくすることにつながります。

また、住宅ローンを組んでマイホームを取得する際にも、どちらか一方(ここでは仮に「夫」とします)の収入だけで無理なく返済していける返済計画を立てることができれば、妻の収入は全額を貯蓄や運用に回すことができます。これはかなり大きなメリットと言えます。

仮に、年間100万円のパート収入でも、それを全額貯蓄できれば、30年で3,000万円にもなります。

しかし現実には夫の収入だけでは希望通りの物件は購入できない。そのため、妻の収入も加えた世帯年収で計算し、借入可能額を増やして、希望の物件を手に入れようとする人が多いようです。

厳しいことを言うようですが、将来のゆとりのためには、妻の収入は計算に入れない、住宅ローンを組むのであれば、夫の収入だけで借りられる金額に抑えるべきです。それも、妻の収入は全額貯蓄や運用に回せるように、教育費の負担なども夫の収入でやりくりできるように見積もることが重要です。

したがって安易に収入合算やペアローンを利用すべきではありません。

収入合算とは、夫が住宅ローンの申込人だったとすると、妻の収入も合算して借入可能額を増やすことができる仕組みで、妻は夫の住宅ローンの連帯保証人になるのが通常です(【フラット35】の場合は、妻は連帯債務者になります)。

一方、ペアローンとは、夫と妻が別々に住宅ローンを組む方法で、1つの家のそれぞれの持ち分をそれぞれが住宅ローンを組んで買うかたちになります。2つの住宅ローンを組むことになるので、収入合算よりも諸費用がかさむ傾向があります。

また、細かな部分の違いは、住宅ローン減税が収入合算だと1人しか受けられません(【フラット35】のような連帯債務者の場合は2人とも受けられます)が、ペアローンの場合はそれぞれが減税を受けられます。

収入合算やペアローンを利用すると、借入限度額いっぱいまで借りてしまう可能性があります。返済負担率(返済比率)35%や40%などの審査が通るギリギリまで借りてしまうと、よほど収入が増えていかない限り、途中で返済できなくなってしまう可能性もあります。

収入合算やペアローンの危険性は不測の事態で顕在化します。たとえばフルタイムの夫が病気やケガで働けなくなった場合や、どちらかの親に介護が必要となり、今までの仕事を辞めたり、変えたりする場合、離婚することになった場合(3組に1組は離婚する時代です)、負担は大きく増えます。返済額と収入のバランスは本当に問題ないでしょうか。

だからこそ、安易に収入合算やペアローンを使うべきではないのです。逆に、希望する物件価格を夫の収入だけで安心して返済していける返済計画を立てることができるなら、先述した通り、お金の面で不自由しないゆとりのある老後生活を送ることができるようになる確率が格段に上がるのです。

共働き世帯の人は、共働きのメリットを最大限活用して、ばら色の生活を思い描いてみてほしいと思います。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:菱田 雅生

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住宅ローンについて「返済負担率」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。銀行などの金融機関などが融資の審査をするときに、基準の一つとして使っているのが「返済負担率」です。また、昔から住宅情報誌などでは、返済負担率25%以内が安心して返済していける額の目安とも言われてきました。今回はその返済負担率と安全性との関係についてまとめます。

※アルヒをはじめ金融機関によっては返済負担率を「返済比率」と表現していますが、本記事では統計資料と表現を合わせるため「返済負担率」と記載しています

【フラット35】では申し込み要件の3番目にある「返済負担率」

そもそも「返済負担率」とは、住宅ローンの「年間返済額」を「年収」で割ったものです。

例えば、年間返済額が150万円で、年収が500万円なら、返済負担率は30%(=150万円÷500万円×100)です。

この返済負担率は、住宅ローンの審査項目になっているケースが多く、国土交通省が毎年調査している「民間住宅ローンの実態に関する調査」(2020年度:公表は2021年3月)の調査報告書を見ても、以下のグラフにあるように、約92%の金融機関などが「返済負担率」を審査項目の一つとしていることがわかります。

融資の際に考慮する項目(返済負担率)

出所:国土交通省「令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」(2020年度)

住宅金融支援機構が民間金融機関などと提携し、民間金融機関などを窓口として取り扱っている【フラット35】の場合は、申し込み要件の3番目に「返済負担率」の条件が記載されています。

フラット35申込要件

出所:住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件

【フラット35】の場合は、年収が400万円未満の返済負担率は30%以下、400万円以上の場合は同35%以下という基準を満たさなければなりません。

さらに「総返済負担率」という記載があるように、年間返済額の計算の際には住宅ローンの返済だけでなく、自動車ローン、教育ローンおよびカードローンの返済額をすべて合計する必要があります。住宅ローン以外のローンをいろいろと利用している人は、あまり借りられないということです。

そうはいっても、35%という基準はかなり緩めであると言えます。たとえば、年収500万円で返済負担率35%だったとすると、年間返済額は175万円(=500万円×35%)です。そこまでOKにしまうと、家計はかなり厳しいと想像できます。

年収500万円といっても、手取り収入で言えばおよそ400万円。そのうち175万円をローンの返済に充てるわけですから、残りは225万円。マンションを買って修繕積立金や管理費、固定資産税などで年間30万~40万円かかるとすると、残りは190万円程度。毎月にすると16万円弱です。この金額から、食費や公共料金、通信費、教育費などを支払い、将来のための教育資金や老後資金を準備することはできるのでしょうか。かなり厳しいと思います。

返済負担率の条件は各社で異なる

全国には住宅ローンを取り扱っているさまざまな金融機関などがあります。国土交通省の調査によると、返済負担率を審査項目に挙げている金融機関などによっても、返済負担率の条件が40%台の機関もあれば、30%台の機関もあり、各機関で異なっています(下表参照)。

金融機関によって異なる返済負担率

出所:国土交通省「令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」(2020年度)

【フラット35】のように、30%や35%としている金融機関などが多いのかというと、実は40%や45%のほうが多いようです。なかには、数は少ないにしても50%以内という金融機関もあるようです。

年収の半分まで、年収500万円なら年間250万円まで、返済に充ててしまう返済計画でも融資をOKしてしまうところが本当にあるのか、にわかには信じられませんが、調査の結果をそのまま受け取れば、そうなります。そのほかの審査項目も重視したうえで適正な融資を行うようにしているのかもしれません。

返済負担率だけで安全性は測れない

金融機関などが、融資審査をできる限り効率良く短時間で行えるようにするために、返済負担率などを利用するのは仕方がないと思います。住宅ローンの申込者を1人ずつ細かく家計の収支状況をチェックし、将来の教育資金や老後資金の準備まで問題がないかどうかをシミュレーションしたうえで融資の適否を判断するのでは非常に時間がかかりますし、労力も必要です。

金融機関がそれを行うのはなかなか難しいでしょう。仮にそれができたとしても、審査を通らなくなる人が増えてしまうことによって、金融機関の収益としてはマイナスにしかなりません。

したがって、審査が通って住宅ローンを借りることができたとしても、それだけでは本当の意味で安全な資金計画になったかどうかはわからないのです。昔から一般的に言われている「返済負担率25%以内なら安全」というのも要注意です。

たとえば、同じ年収500万円のAさんとBさんがいたとして、Aさんは家賃を払いながらも毎年100万円を頑張って貯金しています。一方、Bさんは同程度の家賃ではありましたが、貯金はまったくできない状態としましょう。では、そんなAさんとBさんが、返済負担率25%で住宅ローンを組んだ場合、AさんとBさんは二人ともきちんと返済していくことができるでしょうか。教育資金や老後資金をためていくことができるでしょうか。

おそらくAさんは何とかなる可能性は高いと思います。毎年100万円を頑張って貯金しているわけですから。一方のBさんは厳しいでしょう。まったく貯金できない家計の状態なのですから。

まとめ

このように、年収が同じでも家計の内容は人によってかなり異なります。年収を基にした返済負担率で安全かどうかを判断することはできません。家計の実態把握が非常に重要なのです。

これから住宅ローンを組もうと思っている人はまず、現在の家計から安心して返済していける金額はいくらなのかを冷静に見積もってください。将来の教育資金や老後資金の貯蓄も考慮しながら、いくらまでなら住居費に充てても大丈夫なのかを見積もるのです。

そして、今回のコロナ禍のような不測の事態による多少の収入減があっても安心して返済していけるような借入金額を算出します。そのうえで購入可能な物件価格を見極め、その範囲内の物件を探し始めるという流れで進めるのが、最も安全で無難な住宅取得計画になるでしょう。

先行きが不透明な時代だからこそ、慎重に検討を重ねるようにしましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:菱田 雅生

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住宅購入を考えるときに、住宅ローンの返済計画だけでなく、想定しておきたいのが、住宅購入によって変わる家計です。持ち家特有の出費や、賃貸から持ち家になることで変化する可能性がある支出について考えてみましょう。

購入後に増えるもの

持ち家になると、賃貸の時にはかからなかった税金や修繕費などがかかるようになります。これらは住宅を所有している限り必要になるランニングコストです。

固定資産税・都市計画税

毎年支払いが必要になるのが固定資産税・都市計画税(地域によってはかからない場合もあり)です。1月1日時点の土地や建物の所有者が納める税金で、毎年4月頃に納税通知書が送られてきます。1年分を一括納付するか、4期に分けて支払います。

固定資産税・都市計画税共に固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額に税率をかけて納税額を計算します。固定資産税は標準税率が1.4%(異なる自治体もあり)、都市計画税は制限税率0.3%を上限として自治体によって異なります。

平均的な納税額は戸建てで10万〜15万円、マンションで10万円前後といわれていますが、住んでいる地域や建物の構造などによって大きく異なります。購入前に不動産会社などに確認しましょう。

なお、新築住宅の場合は下記のように軽減措置があります。ただし減税期間は限られているので購入当初の税額で家計の収支計画を立ててしまうと後で慌てることになります。注意が必要です。

<新築住宅に対する固定資産税の軽減措置>

・対象:2022年3月31日までに新築された住宅

・1戸当たり120m2相当分までを限度として、下記の期間の税額を2分の1に減額

・対象期間

 戸建て住宅: 3年間

 マンション等(3階建て以上の耐火・準耐火建築物):5年間

管理費、修繕積立金(マンションの場合)

マンションの場合、管理費、修繕積立金、駐車場代、駐輪場代などのコストがかかります。特に修繕積立金は、将来値上がりしていくことが決まっている「段階的増額積立方式」を採用しているケースが多いため、どの程度の値上がりが想定されているのかを管理規約などで確認しておきましょう。

なお、国土交通省による「平成30年度マンション総合調査結果」によると修繕積立金の月平均額は12,268円です。修繕積立金の目安については、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」でも確認ができます。

参考:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の概要

外壁・屋根などの修繕費準備(戸建ての場合)

戸建ての場合は、10〜20年ごとに外壁・屋根の塗装やシロアリ防除などのメンテナンスが必要となります。塗装の種類などにもよりますが、足場代などを含めると150万円から200万円程度準備しておく必要があります。住宅建築、購入時に建築した工務店などにメンテナンスのタイミングや費用の目安を確認して、計画的に準備をしましょう。

リフォーム、エアコンなどの付帯設備費用

マンション、戸建てともに必要なのが、水回り、内装などのリフォーム代や給湯器、床暖房、換気扇など付帯設備の修理・交換費用です。

付帯設備については、標準的な耐用年数に合わせて、修理費用や交換費用を見積もっておくと安心です。エアコン付きの賃貸物件を利用していた人などは、部屋数分のエアコン交換費用も想定をしておきたいところです。

国土交通省の「2019年住宅市場動向調査」によるとリフォームした住宅の平均居住年数は24.2年、リフォーム資金は下記の表のようになっています。まとまった資金が必要となりますので、早めに準備をしましょう。

アルヒマガジンメインイメージ(電卓とおもちゃの家)

(出典:国土交通省 2019年住宅市場動向調査 リフォーム住宅による結果)

購入後の変化を想定しておきたいもの

次に住宅購入をすることで家計を変化させる可能性があるものを確認しましょう。

毎月一定額の支払いが発生する固定的な出費

部屋数が増える、居住空間が広くなる、床暖房や全館空調など住宅設備が変わるなどにより賃貸時よりも支出が増える傾向が高いのが光熱費です。引っ越し先によっては、都市ガスからLPガスに変わることでガス料金が上がることもあります。

一方で太陽光発電を活用したオール電化にする場合や、高気密・高断熱など省エネ効果が高い住宅に住む場合は、光熱費が減るケースもあります。

また、賃貸住宅でインターネット回線を無料で利用していた場合は、住宅購入後に新たに契約が発生するために通信費の負担が増えることもあるでしょう。

自家用車

住宅購入によって住む場所が変わることで影響するのが自家用車を所有するかどうかです。

たとえば、新居が駅から遠くなることで車を所有する必要に迫られた場合、自家用車の購入費用だけではなく、ガソリン代、税金、自動車保険料、車検費用などの車の維持費がかかってきます。反対に住宅購入を機に自動車を手放して必要な時だけレンタカーやカーシェアリングを利用する人も増えています。公共の交通費と併せて確認しましょう。

【住宅購入後の家計変化チェックリスト】

住宅購入後に変化する可能性が高い支出項目のリストです。

購入する住宅を想定して、支出がどう変化するのかをチェックしてみましょう。

住宅購入後に変化する可能性が高い支出項目

教育費

見落としがちなのが教育費です。「友達の多くが私立中学受験をするので自分も受験したい」と子どもが希望することも少なくありません。「高校までは公立」で教育費を想定していた場合には、大幅な教育費の計画変更が必要になるケースもあります。自宅から遠い私立に通うようになると通学にかかる交通費も大きな負担になります。近隣の学校や教育事情などの情報も事前に集めておくと安心です。

もし家計が厳しくなったら

住宅購入によって家計が厳しくなった場合、比較的見直しやすいのが次の支出項目です。

・趣味代

・家族旅行やイベント代

・外食費

・洋服代など

食費など生活に最低限必要なものは節約できる金額が限られます。一方、趣味代や旅行代などは、回数を減らすなど工夫次第でば節約できることが多いでしょう。住宅購入後の生活がカツカツでこんなはずではなかったと後悔しないためにも、購入後の家計をできる限り精密にイメージして、無理のない住宅ローンの返済プランや購入計画を立てることが重要です。

住宅購入によって変わる家計のビフォー・アンド・アフターを確認してきました。住宅購入時は、住宅ローンの返済額をはじめとする購入費用に意識が向きがちです。しかし、住宅購入はゴールではありません、購入後からが新しい生活の始まりです。住宅購入後の生活をイメージしながら変化に対応できるように計画的に準備しましょう。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:秋山 友美

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「家は3回建てないと理想の家にならない」などといわれますが、それは何も注文住宅に限りません。マンションでも建売住宅でも、やはり早めに最初の購入を実現しておけば、2回目以降の購入、住み替え時には資金計画が格段にラクになって、選択肢が広がり、理想の住まいを実現しやすくなるのです。

人生100年時代の長い老後に備える理想の住まいを

「人生100年時代」といわれるようになって久しく、リタイア後の長い期間をいかに充実した生活にするかは誰にとっても重要な問題です。その生活の基盤となる住まいをいかに理想に近いものにするかが、老後生活の満足度に大きく影響するのではないでしょうか。住まいさえ良ければ生活に満足できるという十分条件ではないものの、生活に満足するためにはいい住宅が欠かせないという意味での必要条件といっていいでしょう。

そのためには、資金的な余裕があって、自ら動けるうちについのすみかとして安全・安心に過ごせる住まいを確保しておく必要があります。

その前提となるのが、若いうちに最初の住まいを買っておくということです。最初の購入で基盤を築き、2回目、3回目の購入で、段階的に理想の家に近づけていくわけです。

3回目というのはなかなか簡単ではないので、せめて2回目の購入で、人生100年時代に耐え得る住まいを実現したいものです。

1回目の購入が全体の7割から8割を占める

国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査報告書」では、取得した住宅の形態別に、その購入が何度目かを聞いています。

その結果は図表1にある通りで「中古戸建住宅」では「2回目」が22.7%と最も多く、「3回目以上」と合わせると3割近くになります。「1回目」という回答は7割強でした。反対に、「1回目」が一番多かったのは中古マンションの80.2%で、「2回目」と「3回目以上」の合計は2割弱にとどまります。

物件形態によって多少の違いはあっても、やはり1回目の購入が圧倒的に多く、2回目、3回目は少数派です。

「家は3回建てないと理想の家にならない」という古くからの格言に照らし合わせると、理想の家を手に入れられた人はさほど多くないのかもしれません。

住宅形態別の住宅取得回数(棒グラフ)

※注文住宅は建て替えを除く 出典:国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査報告書」

新築住宅の一次取得者の平均年齢は30歳代後半

では、1回目の一次取得者と、二次取得者ではどう違うのでしょうか。まずは、年齢を見ると図表2のようになっています。

一次取得者の年齢は「分譲戸建住宅」、いわゆる建売住宅が37.4歳と最も若く、次いで「注文住宅」は38.9歳、「分譲マンション」は39.3歳と、新築住宅の購入者はすべて30代後半です。

それに対して「中古戸建住宅」は43.8歳、「中古マンション」は45.0歳と、新築住宅に比べて平均年齢がかなり高くなっています。

いうまでもなく価格は新築住宅のほうが高く、中古住宅は安いのですが、年齢は新築住宅のほうが低く、中古住宅が高いというというねじれ現象が発生しています。大企業などに勤務、若いうちから比較的年収の高い人が、30歳代で新築住宅を取得し、そうでない人は若いうちに買い過ごして、40歳代後半になって価格の安い中古住宅を取得しているということになるのでしょうか。

住宅形態別の住宅取得時の平均年齢(棒グラフ)

※注文住宅は建て替えを除く。 出典:国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査報告書」

二次取得者の年収は一次取得者よりかなり高い

ただ、二次取得者の年齢にはさほどの差はなく、すべての住宅形態で50歳代になっています。リタイア年齢が間近に迫り、まだ働けるうちに、老後を安心して過ごせる住まいを確保しておこうと考える人が多いのではないでしょうか。

年齢が高くなる分、二次取得者のほうが年収もかなり高くなっています。図表3を見ればわかるように「中古戸建住宅」の二次取得者の平均は1,052万円で、一次取得者の657万円より400万円近くも高くなっています。年収が1,000万円を超えていれば、中古の一戸建て住宅なら、かなり広い家を買えるでしょうし、老後に備えて最寄り駅からの徒歩時間が短い、利便性の高い住まいを手に入れることができるかもしれません。

広さや近さにこだわらなくてもいいのであれば、予算を圧縮できますから、住宅ローンの返済にもかなりゆとりが出てくるはずです。

ただ、取得価格が年々高くなっている「分譲マンション」については、一次取得者の平均年収が864万円で、二次取得者が946万円と、その差がかなり小さくなっています。新築に比べて価格の安い「中古マンション」といえども、それなりの年収がなければなかなか買えないという現実の厳しさを痛感します。

住宅形態別の住宅取得時の平均年収(棒グラフ)

※注文住宅は建て替えを除く。 出典:国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査報告書

二次取得者の自己資金割合は5割前後以上に

一次取得者と二次取得者の借入金と自己資金の金額、自己資金割合を見ると、二次取得者は一次取得者に比べて格段にゆとりある資金計画で取得していることがわかります。

たとえば、新築の「分譲マンション」を見ると、図表4にあるように、一次取得者は借入金が3,269万円で、自己資金は1,124万円ですから、自己資金割合は25.6%です。

それが、二次取得者は図表5にあるように、借入金が2,245万円、自己資金が3,294万円で、自己資金割合は59.5%です。

価格の安い「中古マンション」だと、一次取得者の自己資金割合37.0%に対して、二次取得者は65.1%に達します。必要な借入額が減って、ゆとりある返済計画になりますから、リタイア後も安心です。

恐らく、若いうちに住まいを買っておけば、住み替え時の売却価格は分譲価格より若干安くなるにしても、20年、30年すれば住宅ローン残高は限りなく減っているでしょうし、堅実な資金計画の人ならゼロになっているはずです。そうであれば、売却価格をそのまま住み替え先の購入資金にあてることができるので、資金計画が格段にラクになるのです。

一次取得者の住宅形態別の借入金・自己資金と自己資金割合(棒グラフ)

※注文住宅は土地を購入した新築世帯。 出典:国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査報告書」

二次取得者の住宅形態別の借入金・自己資金と自己資金割合(棒グラフ)

※注文住宅は土地を購入した新築世帯。 出典:国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査報告書」

二次取得者のローン返済はこんなに少なくできる

たとえば「分譲マンション」を例に取ると、一次取得者の借入額3,269万円を、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしで試算すると、毎月の返済額は9万2,279円です。

これに対して、二次取得者の借入額は2,245万円ですから、同じ条件でも毎月の返済額は6万3,373円に減ります。年齢を考えて25年返済にすれば8万4,607円、20年返済でも10万3,246円です。

中古マンションでいいのなら、二次取得者の平均借入額は857万円ですから、20年返済でも3万9,412円、10年返済でも7万5,076円です。早々に完済してゆとりある老後生活に入れます。

体が不自由になって、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームに入るにしても、ローン残高のほとんどないマイホームがあれば、売却して売却代金を入居資金に回せます。それもこれも早めに一次取得を済ませておけばこそです。

コロナ禍で先行き不安はありますが、それに負けずにできるだけ早くマイホームを取得しておくことが、明るい将来につながるはずです。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:山下 和之

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梅雨らしさが漂う日々が続き、雨の季節への移ろいを感じる6月。主要な都道府県に発令されている緊急事態宣言は延長が決まり、日本経済の影響も長引く懸念が続いてます。このような状況の中での2021年6月の【フラット35】金利動向を見ていきたいと思います。

2021年6月の【フラット35】金利

2021年6月の金利(フラット35)

今月の全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利は融資率9割以下、返済期間21~35年、機構団信を含めて1.35%となり5月から0.01%の引き下げ、融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.22%となり、同じく0.01%の引き下げとなりました。

ARUHI住宅ローンの実行金利一覧

建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHIフラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHIスーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。

2021年6月実行金利 ARUHIスーパーフラット

物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6」(※団信込み)は1.18%。

物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7」(※団信込み)は1.20%。

物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8」(※団信込み)は1.22%。

物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット9」(※団信込み)は1.30%となっています。

さらに低金利の住宅ローンの状況は?

2020年10月以降から融資の実行が開始している以下の商品については以下の通りです。

物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット5」(※団信込み)は1.14%。

物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.19%。

物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.21%。

物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.27%となっています。

まとめ

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。

6月に【フラット35】金利が下がってきた背景

2021年6月分の機構債の表面利率は2か月連続で0.01ポイント下がり、【フラット35】(買取型)の金利も2か月連続で0.01ポイント下がりました。

5月・6月の金利変動(表)

2021年3月まではワクチンによる経済正常化への期待から実体経済と乖離して長期金利が。上がってきていたのですが、ここ2か月の感染再拡大と変異株の発生から金利が下がり始めているようです。

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※下記に詳細を解説しています)からすると金融市場の金利がダイレクトに住宅ローン金利に影響するため、セオリー通りの動きになっていると言えるでしょう。

5月は3月決算企業の決算発表が多く行われた月でもあります。コロナ禍の巣ごもり需要で業績を伸ばした業種と経済活動の自粛によって大打撃を受けた業種で明暗がクッキリと別れる結果となっています。予想されていたことではありますが、日経平均株価は堅調に推移しており、長期金利にも大きな動きはありません。

一方で、緊急事態宣言の期限が6月20日まで再延長されています。

宣言そのものの実効性が弱まっていることもあり、短期的に状況が好転することは考えにくいのですが、緊急事態宣言によって人流が抑制されている間は再び急激に感染拡大する可能性も低いのではないかと考えています。しかし海外で猛威をふるっている変異株が入ってきていることを考えると予断は禁物ですね。

しかし、仮に今のワクチンが変異株に対しても有効と認められ、世界的に行き渡っていくならば、再び経済正常化への期待から金利が上昇することが考えられます。引き続き、今後の見通しが読めない状況は続いています。

その点、【フラット35】を取り扱う住宅金融支援機構は、一時的な金利の上昇局面において利用者が影響を受けないように融資金利の上昇を抑える対応を取ることがあり、先行きの不透明なコロナ環境下においては特に有利な固定金利と言えるでしょう。

※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み

住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35(買取型)の資金調達の仕組み(図解)

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:ARUHIマガジン編集部

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住宅購入を検討し始めると、最初に考えるのが「幾らくらいの物件なら買えるのか?」ですね。しかし、住宅は購入時だけではなく、所有している間にもさまざまなお金がかかります。住宅に対しての支出は自分の一生で総額でどのくらいになるのか、それだけの金額をかける価値があるのか、住宅購入の予算について少し視野を広げて考えてみませんか?

1. 一般的な住宅予算の考え方

「幾らくらいの物件が買えるのか?」は、次のような計算で算出するのが一般的です。

購入する物件の予算(図解)

(1)住宅ローン借入金額

現在の年収によって借り入れられる金額は異なります。ただし、金融機関が貸してくれるからといって、それが返せる金額とは限りません。あくまでも、自分で返せると判断した金額を借り入れるのが鉄則です。現在の生活を特に変えることなく、毎月の住宅ローン返済額と、年間にかかる固定資産税・都市計画税の支払い、マンションであれば管理費・修繕積立金の支払いに無理がないかで判断します。

また、何年間返済できるかも重要です。同じ返済額でも、返済年数を長くする方が多く借り入れることが可能です。住宅ローンは最長35年間の返済期間を設定できますが、基本的には、自分が働いて収入を得ることができる間に設定しましょう。

(2)自己資金

貯蓄額から頭金・諸費用として出せる金額です。なるべく多く頭金に入れた方が住宅ローンの借入金額を減らすことができ、総返済額を少なくすることができますが、緊急時に対応するための資金として、生活費の半年分くらいを目安に手元に残しておきましょう。また、住宅購入後5年以内に子どもの進学など、まとまった資金が必要なライフイベントがある場合はその資金を含め、多めに残しておきましょう。

2. 生涯収入から考える、もう一つの購入予算

上記の一般的な予算の考え方は、いくらのものが買えるかを「購入時」の状況を基に判断しているものです。でも、住宅を購入すると、その住宅を維持するための費用がかかり続けます。一生涯で、住宅に総額でいくらかけることになるのかを知ることも、購入予算を決めるうえでの一つの判断基準になるでしょう。

以下の事例で試算してみます。

<計算例の前提>

・夫35歳、妻35歳、子2人(5歳、3歳)

・65歳までの世帯平均年収(手取り) 700万円

・退職金 1,500万円

・65歳からの年金収入 250万円(年)

・生活費(65歳まで) 30万円(月)

    (リタイア後) 20万円(月)

・子2人の教育費 1,500万円×2

・その他イベント 500万円

(1)生涯収入…一生の収入の合計額

まず、これから幾らの収入を得ることができるのかを試算してみましょう。もちろん、不確定な部分も多いと思いますが、今の年収を基に、これから上がりそうか、下がりそうかなども加味して、リタイアまでの収入を予想してみましょう。また、リタイア後の年金収入についても、ねんきん定期便などを参考に試算してください。退職金がある場合には、金額を調べておきましょう。

(計算例)

65歳まで30年間の勤労収入+退職金+年金収入(15年分とする)

700万円×30年+1,500万円+250万円×15年=2億6,250万円

(2)生涯支出(住宅関係費以外)

65歳までの支出+リタイア後の支出+教育費+その他イベント

30万円×12×30年+20万円×12×15年+1,500万円×2人+500万円=1億7,900万円

(3)生涯で住宅にかけられる金額

住宅にかけられる金額を出してみましょう。最大で、生涯収入から住宅関係費以外の生涯支出を差し引いた残りを住宅にかけることは可能です。

2億6,250万円−1億7,900万円=8,350万円

この金額が、生涯収入に対してどのくらいの割合を占めるのか確かめてみます。

生涯支出の割合

残りを全部住宅費にあてようとすると、生涯収入のうちおよそ3分の1を占めるということがわかります。

これを見たときに、どう思うか、を大切にしてください。

あなた自身の収入を、何にどのくらいあてるかは、人生の価値観でもあります。たとえば、もっと家族との旅行などのイベントにあてたい、子どもに資産を残したい、などの希望があれば、全額を住宅にあてるのではなく、調整すればよいのです。

3. 住宅費総額から物件予算を考える

住宅を購入すると、住宅ローンの支払い総額のほかに、固定資産税・都市計画税、水回りなどの室内の修繕費、マンションなら管理費・修繕積立金、戸建てなら外壁等の塗り替えなどの修繕費などのランニングコストがかかります。

例えば、下記のような5,000万円のマンションを購入した場合の総額を出してみましょう。

5,000万円のマンションを購入した場合の総額

物件の所在地や、戸建てなのかマンションなのかなどによってもランニングコストは変わるので、一概に何割くらいなどとは言えませんが、まずはご自身でイメージする物件で総額を出してみてください。

上記の場合は、住宅にあてられる金額のほぼすべてを使うことになります。もう少し余裕が欲しい、ほかのことに使いたい、と思った場合には、住宅の予算を下げたり、頭金に充当するためにご両親等から資金の援助(贈与)を受けるなどの調整をするとよいでしょう。

購入時の年収や家計だけでなく、生涯の収支からも見てみることで、まずは無理のない購入かどうかを確認することができます。また、ほかのことを我慢したりすることなく購入できる予算なのかの判断もできます。両方の視点から検証してみることにより、将来後悔しない予算を確認することができます。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:高田 晶子

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4月25日に3回目の緊急事態宣言が4都府県で発令されました。新型コロナウイルス感染拡大は第4波という形で社会や経済へ影響をもたらしています。このような状況の中での2021年5月の【フラット35】金利動向を見ていきたいと思います。

2021年5月の【フラット35】金利

2021年5月の【フラット35】金利

今月の全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利は融資率9割以下、返済期間21~35年、機構団信を含めて1.36%となり4月から0.01%の引き下げ、融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.23%となり、同じく0.01%の引き下げとなりました。

ARUHI住宅ローンの実行金利一覧

建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHIフラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHIスーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。

2021年5月実行金利 ARUHIスーパーフラット

まとめ

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。

4ヶ月ぶりに下がった2021年5月【フラット35】金利の背景

2021年5月分の機構債の表面利率は前月から0.01%下がり、【フラット35】(買取型)の金利は0.01%下がりました。金利が下がったのは実に4ヶ月ぶりのことです。

4月・5月の金利変動(表)

特に2021年2月から3月にかけて経済正常化への期待から債券を売る動きがあり、実体経済と乖離した長期金利の上昇が見られました。【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※下記に詳細を解説しています)からすると金融市場の金利上昇がダイレクトに住宅ローン金利に影響するため、どうしても上がらざるを得ない面があります。

今月5月の【フラット35】金利が下がったのも、金融市場の長期金利が下がったためです。長期金利が下がった主な要因としては、米FRBのパウエル議長が「新型コロナウイルスの感染拡大が終息した後にインフレが制御不能になるリスクは懸念していない」との声明を発信し続けており、それが徐々に市場の共通認識になってきたためと考えられます。

特に日本においては、新型コロナウイルスの第4波や変異株の感染拡大リスクから経済正常化への期待が後退していることも関係しているでしょう。ただし日経平均株価は依然として高い水準を維持しており、今後もなんらかの要因で長期金利が急激に上昇する可能性はあります。

ただし、【フラット35】を取り扱う住宅金融支援機構は非営利団体であるため、一時的な金利の上昇局面において利用者が影響を受けないように融資金利の上昇を抑える対応を取ることがあり、今年の2月から3月の金利上昇も抑えられました。先行きの不透明なコロナ環境下においては注目の固定金利だと思います。

※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み

住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35(買取型)の資金調達の仕組み(図解)

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:ARUHIマガジン編集部

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住宅ローンの借り入れ可能額をシミュレーションする

住宅ローンの借り換えでいくらお得になるかシミュレーションする

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コロナ禍でも住まいを購入したいと考える人は少なくありませんが、気になるのが先行きの不透明感。多額の住宅ローンを組んで、確実に返済できるのかと不安になりそうですが、コロナ禍に対応して、万一のときには救済策を利用しやすくなっています。すでに3万人以上の人が適用を受けているそうです。

首都圏マンションは新築も中古も安定的に売れている

新型コロナウイルス感染症の影響拡大で住宅を購入する人が減るのではないかと懸念されましたが、マンション、一戸建てともにコロナ禍以前並みかそれ以上に売れています。

民間調査機関の株式会社不動産経済研究所によると、首都圏の新築マンションの発売戸数は2020年には2万7,228戸だったのが、2021年には3万2,000戸に増える見込みで、1月、2月の契約率を見ても、70%台の安定した売れ行きを示しています。

中古マンションも同様で、公益財団法人東日本不動産流通機構の調査によると、2021年1月の首都圏中古マンションの成約件数は、同機構が1990年5月に発足して以来、1月としては過去最高を記録しました。成約価格は2020年6月から、ほとんどの月で、前年同月比5%以上の上昇が続いています。

コロナ禍で在宅勤務が増えて、ワークスペースを確保できる住まいが必要になったこと、在宅時間が長くなり、自分たちの将来や住まいについて考える機会が増えたことなどが、好調な売れ行きにつながっているのではないかと見られます。

コロナ禍で現金給与総額は10ヶ月連続で前年同月比から減少

しかし、コロナ禍の先行き不透明感が強いなかで、住宅ローンを組んでいいのかという不安を感じる人が多いはずです。

事実、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額の前年同月比は、図表1にあるように、2020年4月にマイナスに転じて以来、2020年1月まで10ヶ月連続してマイナスが続いています。多少収入が減っても、働き続けられればいいのですが、なかには飲食業、宿泊業などを中心に、仕事を失ってしまう人も少なくありません。

そんな不安定な時期に住宅ローンなどとても組めない――ということになりそうですが、ためらっているばかりでは、いつまでもマイホームを手にすることができず、結果、生涯賃貸住宅住まいということになりかねません。

どこかで思い切って飛び込む必要がありますし、飛び込んでみれば、そんなに心配することはなかった、買ってよかったということになるケースも多いのではないでしょうか。

現金給与総額の推移(折れ線グラフ)

出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和3年1月分結果確報」

住宅ローンには万一の際の救済策が用意されている

それでも、不安という人には、住宅ローンには万一に備える救済策が用意されていることを紹介しておきましょう。いざとなれば国が救ってくれるなどと、安易な気持ちで行動されては困るのですが、転ばぬ先の杖として知っておけば、ある程度不安を払拭できるはずです。

リーマンショック後の2009年、住宅ローンの返済に困る人が続出したとき、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(中小企業金融円滑化法)」が施行され、住宅ローンについては、利用者からの条件変更などによる返済猶予などの希望に柔軟に対応することが義務化されました。

この法律は期限切れになっていますが、今回のコロナ禍においては、2020年3月に内閣府特命担当大臣(金融)名で、「新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた事業者の資金繰り支援について(要請)」が出されました。個人の事業性ローン、住宅ローンなどについて、返済猶予などの相談に応じるなど、必要な支援を行うように求めています。

図表2 金融庁が作成した中小企業経営者や住宅ローン利用者向けのリーフレット(一部抜粋)

新型コロナを踏まえた住宅ローン等の返済猶予について(図解)

出典:金融庁「新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた住宅ローン等の返済猶予等について(周知)」

コロナ禍の影響で収入が減ったり、失業したりして返済が困難になった人から相談があったときには、返済期間の延長などによる条件変更によって、利用者が返済を継続、マイホームを失わないように配慮することを、金融機関に対して指導したわけです。

賃貸住宅にお住まいの方にはどのような救済制度があったかというと、経済産業省には「家賃支援給付金」という制度があり、2020年7月14日から受付開始、2021年3月31日で事業終了となりました。

住宅ローンを組んでいる方の場合は、2020年3月から救済策の受付を開始し丸1年を経過した2021年4月1日現在も相談を受け付けている金融機関が多くあります。

「生活の立て直し」という面で、賃貸住まいと持ち家住まいを比較すると、

・受付開始の迅速さ

・救済制度期間の長さ

・金融機関が柔軟な対応をする事など

住宅ローンを組んで持ち家に住んだ方が、予期せぬ事態があった場合、仕組みが準備されていると言えそうです。

出典:金融庁「新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた住宅ローン等の返済猶予等について(周知)」

無条件での1年間の元金据え置きなどの対応を実施

その結果、金融機関がどのような対応を取ったのか――金融庁では具体的な事例をホームページで紹介しています。たとえば、こんな具合です。

新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例

・住宅ローンに係る返済猶予等の相談について、審査を行わずに最長1年間の元金据え置き等を実施

・住宅ローンに係る返済猶予の求めに対して、まず6ヶ月間、元金を据え置き、6ヶ月後にその時点の状況を踏まえて対応を再検討する(条件変更手数料も無料)

・住宅ローンについても返済猶予等の取り組みを行っていることを、具体的な事例とともにリーフレットにまとめ公表・幅広く広報

・住宅の完成前に実行される形の住宅関連融資について、工期の長期化を見据え、住宅完成・引き渡しまで元金を据え置く(条件変更手数料も無料)

・個人向け事業性ローンや住宅ローン等の条件変更の求めがあった場合、収入減少の確認資料を不要として、迅速に対応

出典:金融庁「新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例」

条件変更申込みの97.5%が条件変更などの実行に救済策適用に

金融庁のまとめによると、全国の金融機関に対して、図表3にあるように、2020年3月10日から2021年1月末までに、3万7,942件の条件変更などの申し込みがあったそうです。

住宅ローンの貸付条件の変更実績

出典:金融庁「貸付条件の変更等の状況について」

そのうち、3万155件に関して、融資条件の変更などの救済策が実行されました。謝絶は789件ですから、2021年1月末時点で結論が出た総数のうち救済策が適用された割合は97.5%に達します。

ほとんどの人が、返済額の減額などに応じてもらったうえで、返済を継続していることになります。

救済策が適用されないでの相談をせずに住宅ローン返済の延滞が続くと、住宅ローン残高の一括返済を求められ、それができないときには自主的に住まいを売却する任意売却を迫られ、売却できなければ競売にかけられることになります。

いずれにしても、マイホームを失う、あるいは、失ったうえで、住宅ローン残高が残って、なお返済が続くという厳しい事態に陥ってしまいます。

しかし、ローン返済が厳しくなった段階で金融機関に相談すれば、返済期間の延長などの救済策が適用され、返済を継続して、マイホームを守ることができるようになります。それも97.5%と、ほとんどの人が救われているのです。

当面の返済額を大幅に減らして危機を乗り切る

独立行政法人住宅金融支援機構でも、【フラット35】の返済が苦しくなった人への救済策を実施していますが、一定期間だけ返済額を減額したり、返済期間を延長する方法などが紹介されています。

借入額3,000万円、金利年2%、35年返済の場合、毎月の返済額は9万9,378円です。このローンで、10年経過後に1年間だけ返済額を5万3,738円に軽減して、残りの24年間の返済額を10万1,797円とする方法があります。1年間、返済額がほぼ半分近くになるので、返済を続けられる人がいるはずです。

また、3年間元金を据え置いて、15年間返済期間を延長すると、据え置き期間中の返済額を4万円弱に減らしたうえで、据え置き期間終了後の毎月返済額も7万円台に抑えることができます(内容変更後の完済時年齢が80歳を超えない必要があります)。

ただ、どちらの場合も完済までの総返済額が増えることは知っておく必要があります。

時には思い切った決断が必要になることもある

翻ってみれば、1990年代にはバブルが崩壊し、2008年にはリーマンショックに襲われ、2020年には新型コロナウイルス感染症がやってきました。コロナ禍はいずれ終息するでしょうが、将来、いつまた今回のような想定外のことが起こるかわかりません。

しかし、こうした救済策の適用が可能であることが頭に入っていれば、想定外の事態に襲われてもあたふたする必要がなくなります。冷静に、キチンと対応すれば、無事に乗り切れるようになるはずです。

拙速や蛮勇はおすすめできませんが、長い人生、時には思い切った決断が必要になることもあります。むしろ、こんな先行き不透明な時期にマイホームを取得、その時期を乗り切ることができれば、怖いものはありません。ピンチは実はチャンスのときなのかもしれません。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。

執筆者:山下 和之

提供元: アルヒマガジンロゴ

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