十数年後にも美しい壁の家で暮すために…外壁選びで重視すべきことは?

レンガの壁

掲載日:2015/11/02

更新日:2020/07/03

外壁の色やデザインで、家の印象はがらりと変わります。住む人のこだわりも大切ですが、周囲の街並みとの調和についても配慮が必要でしょう。住む地域の周辺環境に合わせた色・デザイン・素材を選ぶことで、施工時の美しさをより長く保つことができます。

また、外壁は建物を守りながら、常に風や雨にさらされているため、経年による劣化は避けられません。外壁が劣化すると、家全体の印象が暗くなると同時に、雨もりの原因となることも。外壁の修繕は、一般に施工から15年程を目途に必要になると言われています。住まいという大切な財産を守るために、メンテナンス性についても十分チェックしたうえで慎重に選びたいものです。

  • 今住んでいる家の外壁のデザインが気に入らない
  • 外壁で家の個性を演出したい
  • 将来的なメンテナンスのコストも抑えたい

こういった思いを持つ方が満足できるよう、外壁の素材や選び方についてご案内したいと思います。

さまざまな色や材質を選ぶことができる人気の素材

住まいの外壁材としては、サイディング・モルタル・タイル・ALCなどが一般的です。それぞれの外壁材の特徴をご紹介しますので、メリット・デメリットをよく理解したうえで選択しましょう。

【サイディング】

ボード状になっている外壁材で、窯業(ようぎょう)系、金属系、木質系、樹脂系があります。工場生産なので品質が安定しており、製品によっては低コスト化の実現も可能。また施工もスピーディです。色・デザインが多様に揃うのも特長で、温かみのある窯業系、スタイリッシュな印象の金属系、天然木の風合いを演出できる木質系など、好みのスタイルに合わせて選ぶことができます。ただし、ボード状のサイディングを施工する際、すき間に入れるコーキングが経年で劣化するため、定期的なメンテナンスが必要に。コーキング不要のサイディング材も登場しているので、デザインと価格、メンテナンス性のバランスを見ながら選びましょう。

【モルタル】

砂・セメント・水を混ぜ合わせて作るモルタルと呼ばれる素材を壁に塗り付け、乾燥させた後、塗料を吹き付けて自然な質感に仕上げます。ジョリパット、吹きつけタイル、リシン、スタッコなどの仕上げ工法があり、さまざまな色と素材感から選ぶことができるのが特長。また防火性も備えています。ただし、現場での施工が必要となるため、工法によってはコスト高になることも。独特の凹凸は温かみや高級感ある住まいを演出しますが、汚れがつきやすいというデメリットもあります。また高い耐久性を備えていますが、ひび割れが雨もりや腐食の原因となることもあるため、定期的な点検をおすすめします。

【タイル】

粘土を主成分とするタイルは、高い耐久性が特長。汚れにくく、紫外線にも強いので、施工時の美しさを長く楽しむことができます。色や質感のバリエーションが多様で、住まいに高級感を演出。ただし重量があるため施工は丁寧に進める必要があり、他の外壁材よりも時間とコストがかかります。また、タイルとタイルのすき間に施すコーキング材の劣化や、施工不良によるタイルの浮きが水もれの原因になることもあるので、定期的な点検が必要です。

【ALC】

ALCとは、軽量気泡コンクリートのこと。その名の通り軽量で、高い断熱性と耐火性、遮音性を特長としています。パネル状になっているので施工もスムーズ。熱や乾燥に強く、ひび割れもしにくいので、つなぎ目のコーキングを定期的にメンテナンスすることで、長く使い続けることができます。ただし、防水性能が低いため、仕上げには防水塗装が必要。また価格が比較的高くなりがちというデメリットもあります。

それぞれの外壁材のメリット、デメリットを理解するのも大切ですが、色や質感にこだわって選ぶことで、完成時の満足感はさらにアップします。インターネットやカタログの写真では実際の色を再現できていない場合もありますので、必ずサンプルで実際の質感を確認するようにしてください。周囲との調和を意識して色を選ぶと、街並みに美しく溶け込む住まいになるでしょう。

数十年後の状態は?メンテナンスについても確認を

外壁材選びでは、耐久性や防汚性を考慮することで、将来的なメンテナンスコストを抑えることができます。先に触れたように、外壁は常に外気にさらされるもの。海に近いエリアや紫外線の強いエリアでは、短いサイクルでメンテナンスや修繕が必要になることもあります。

サイディングやタイルは、外壁材そのものが傷まなくても、すき間に施すコーキングの劣化によって修繕が必要になります。モルタルは材料費や工事費が割高にはなりますが、高い耐久性が魅力。とはいえ、ひび割れや汚れによる劣化は避けられないので、点検は必要になります。重量な外壁材は、地震などの影響も受けやすいことも覚えておきましょう。軽量なALCなら、建物への負担を抑えることができます。

外壁は面積が広いため、メンテナンスや修繕が必要となると工事の規模も大きくなり、コストもかかります。その点を考え、アフターケア・定期点検の充実している施工業者を選ぶことも重要ですね。家を建ててから10年、20年後のこともしっかり考え、住む人のスタイルに合っていて、かつ、メンテナンスに手がかからない外壁を選択しましょう。