家族であり続ける!1.5世帯、2.5世帯のくらし

掲載日:2020/10/02

更新日:2020/10/26

昨今の日本は、急速に進む晩婚化、非婚化、離婚率のアップなどで30代~40代の単身者が急増しています。総務省統計局によると、全国の「親と同居の壮年未婚者(35~44歳)」数は、1980年には39万人で同年齢層の2.2%でしたが、2016年には288万人で16.3%を占めるまでになりました。このような事態を背景に注目されているのが、1.5・2.5世帯住宅です。

1.5・2.5世帯住宅とは

1.5世帯住宅とは、一般的な夫婦の世帯に単身の社会人が同居する世帯のことです。たとえば、両親と成人して働いている単身の子が一緒に住む世帯です。

一方で2.5世帯住宅とは、1.5世帯にプラスして夫婦世帯やその子どもが同居する世帯です。たとえば、両親と成人した単身の子、さらに子の兄弟夫婦とその子どもが一緒に住む世帯などを指します。

1.5・2.5世帯住宅とはイメージ

2.5世帯に関するある調査では、「親世帯+息子世帯+女性単身者(息子の姉妹)という組み合わせが多い」、「親世帯には以前から単身の子が同居しているケースが多く、別居して賃貸に住んでいた子世帯が加わって2.5世帯になるケースが多い」という結果が出ています。

1.5・2.5世帯住宅に住むメリット

最近は積極的に1.5・2.5世帯に住む人が増えています。そのメリットには次のようなことが考えられます。

  • 家事や育児を分担できる

家族は多ければ多いほど家事を分担することができます。さらに2.5世帯で小さな子どもがいる場合は、育児も分担できるので、ママが働くチャンスも広がるでしょう。また、親世帯で介護が必要になった場合は、そちらも分担することができます。

  • 住宅の購入費用を分担できる

親世帯と子世帯、さらにその兄弟姉妹(単身者)のすべてに収入があるので、住宅の購入費用を分担して負担することができます。また、水道光熱費なども分担できるので、それぞれの世帯に経済的ゆとりが生まれます。

  • 義兄弟姉妹が姑との緩衝役になってくれる

2世帯が一緒に暮らすと、必ずといっていいほど出てくるのが「嫁姑問題」です。しかし、2.5世帯住宅なら、長年姑と暮らしている義兄弟姉妹が緩衝役となって良き相談相手になってくれるケースが多いようです。

また義姉の場合は、働く女性としての先輩にもなるので、仕事の悩みも受け止めてくれるはずです。

  • 単身者がそれぞれの世帯に刺激を与える

1.5または2.5世帯住宅の中で、単身者は外でバリバリ働き、比較的お金にも時間にも余裕がある存在です。そのため、世帯の中では様々な新しい情報を発信してくれるケースが多いようです。また2.5世帯の場合は、単身者が叔父・叔母として子どもの遊び相手となり勉強も教え、よい刺激を与える存在になり得ます。

1.5・2.5世帯住宅に住むメリットイメージ

1.5・2.5世帯住宅の間取りの秘訣

1.5または2.5世帯住宅の間取りを考える場合、単純にそれぞれの個室を設けるだけでは満足度が低くなるようです。秘訣は「つかず離れずの空間づくり」です。特に単身者は、時間の使い方が自由なため夜中に帰宅することもあり得ます。そのため、玄関やミニキッチン、トイレなどの水まわりは個別に設けた方がいいでしょう。

とはいえ、家族間の団らんがなければ1.5・2.5世帯にする意味がありません。そこでたとえば、家族全員が集まるリビングは、どの世帯からもつながるようにし、プライベート空間と団らんスペースを自由に行き来できるようにします。また、廊下を家族全員の本を一ヶ所に集めたファミリーライブラリーとするのもお勧めです。つまり、それぞれの世帯のプライバシーをしっかり確保しながらも、ゆるやかにつながる空間づくりが重要なのです。

また、単身者が将来結婚などで家を出るケースも想定しておくべきでしょう。たとえば親世帯、子世帯の両方から単身者の個室へ行き来できるようにしておけば、単身者が独立した後に親世帯なら父親の書斎、子世帯なら子ども部屋といったように、いずれの世帯でも利用できるようになります。

1.5・2.5世帯の注意点

ここまで1.5・2.5世帯の良い面を紹介してきましたが、注意しなければならない面もあります。それは大きく分けて「住宅ローン」と「相続」の2つです。

前述のように単身者は、いずれ独立する可能性があります。その際に建築費の一部でも住宅ローンを組んでいたら、その後の返済はどうすればよいのでしょうか。

またほとんど場合、親は子よりも早く亡くなります。その際の相続も問題になりがちです。特に2.5世帯では、親の土地に住宅を建てているケースが多いので、兄弟姉妹間で土地をどのように相続するのかも問題になるでしょう。

これらの答えは、それぞれの世帯の事情があるのでケースバイケースとしかいえません。後々もめることがないように、事前に話し合って明確な回答を出しておくことが重要です。

1.5・2.5世帯住宅は、一般住宅よりもプラスαの楽しみやメリットがあります。ただし、成功するか否かは、間取りや家族間の事前の話し合い次第。そこで頼りになるのがハウスメーカーです。多くのハウスメーカーは、1.5・2.5世帯住宅のノウハウが豊富。担当者からアドバイスを受けながら、数十年後でも満足できる住宅を建てましょう。