地震による「家具転倒」から家族を守る「免震」の概念

掲載日:2015/11/02

更新日:2020/07/03

1995年に発生した阪神・淡路大震災では、未曽有の被害が発生し、多くの犠牲者が生まれました。その8割以上が自宅で亡くなっており、死因を見ると、神戸市内では犠牲者の83%が家具の転倒による圧死、窒息、頭部や内臓などの損傷が原因で亡くなっています。

この悲劇が二度とくり返されないよう、現在の家づくりでは、「耐震」「免震」「制震」といった構造を取り入れた、地震に強い家づくりが求められています。なかでも注目したいのは、地震の際に家具などの転倒を防ぎ、被害を最小限に抑える「免震」の構造です。

  • 地震による家具転倒が心配
  • 建物だけでなく家財道具も地震から守りたい

今回は、このような悩みごとを抱えた方のために「免震」の構造について解説したいと思います。

家具転倒を防ぐには「免震」に注目しよう

地震に強い家づくりを考える際、「耐震」という考え方があります。「耐震」は、「地震の揺れによる影響に耐える」ことが目的。主に建物の基礎や構造を強靭にすることで、建物そのものが揺れによる影響に耐えられるようにしています。

「耐震」対策がしっかり成されている建物は、震度6~7クラスの揺れにも耐え、倒壊・崩壊することはないと言われています。ただし、「耐震」構造は、建物の揺れを防ぐわけではありません。大地震で建物が大きく揺れると、室内の家財道具が破損・倒壊したり、建物そのものがダメージを受けるリスクがあります。

一方、「免震」の考え方は、「地震による建物の揺れの影響を抑える」ことを目的としています。地面から建物を切り離すイメージで考えてください。家具の転倒や、建物へのダメージを抑えたいのであれば、この「免震」の考え方を取り入れるのが有効です。

免震装置は、地震の揺れを「受け流す」

それでは、どうやったら「免震」構造の家が建てられるのでしょう。一例としては、建物に免震装置を取りつける方法があります。免震装置を建物と建物が建っている地面との間に設置し、そこで地震の揺れを吸収する方法です。大きな揺れがきても建物はゆっくりと並行に揺れますが、免震装置に揺れが吸収されるため、一定以上の幅で揺れることはありません。この免震装置を導入すると、家具の転倒を予防する効果も期待できます。

「免震」の考え方では、地震による揺れを受け流し、建物に対する影響を軽減させます。いわば、地震の揺れに対して合気道や柔道で言うところの「受け身」をとっているようなものです。建物や家財道具の被害を抑えるので、地震後もスムーズに通常の生活に戻ることができます。

免震装置のデメリットについて考える

「免震」の考え方を家づくりに取り入れる場合、注意しておかなければならないことがあります。いくつかのデメリットがあるため、あらかじめチェックしておきましょう。

まず、通常の家づくりよりもコストがかかります。木造住宅の場合は300~600万がプラスされると言われています。また、この「免震」構造を実現できるハウスメーカーや工務店は限られているため、注文先を選ぶ必要があるでしょう。軟弱地盤に免震装置を設置するのは難しいので、「どうしても」というのであれば地盤改良が必要になり、さらにコストがかかります。 さらに、免震装置を設置した建物は、地震が起きると揺れの力を逃がすため水平方向に動きます。衝突を防ぐため、建物の周囲にプラスαの空間が必要となり、敷地にロスが生じます。また免震装置を挟んだ建物は、1階の床が通常の住宅より高くなるため、高さ制限のあるエリアではプランが制限されるかもしれません。複雑なプランはNGになる場合もあります。

いくら地震の被害を防ぐためとはいえ、こうしたデメリットに「我慢できない」という方もいるでしょう。そのため、免震装置の採用を検討しているときは、あらかじめ自分の理想とする住まいの形や間取りについて、考えをまとめておきましょう。「自分が理想とする住まいは、免震装置を取り入れたとしても実現できるかどうか」をチェックしてから建設計画を決定すれば、後で後悔しなくてすみます。「免震をとるか、それとも間取りをとるか」。自分の中での優先順位を決めておくことが理想の住まいを実現するコツです。

免震装置を住まいに取り入れれば、「地震に強い家」を実現できる