地震に備えた家づくりのために、「耐震等級」に注目してみよう

壊れたレンガの壁

掲載日:2015/10/29

更新日:2020/07/03

昔から、怖いもののたとえとして「地震雷火事親父」といいますが、その中でも特に怖いものといえば「地震」でしょう。阪神大震災や東日本大震災の記憶はまだ皆さんの心に鮮明に残っていることと思います。科学的な調査によって、東海地震や東南海地震など、近い将来大地震が起こる可能性も示唆されています。

  • 過去自分や親しい人が地震の被害にあったことがある
  • 近年大きな地震が増えて不安に感じている

このような境遇にある方にとっては、ぜひとも地震に備えた家づくりを目指したいものです。では、地震に備えた家とはいったいどのようなものなのでしょうか?

地震への強さを示す「客観的な基準」を満たそう

「地震に備えた家」と聞くと、柱や基礎、壁が頑丈で少しの揺れにはびくともしない家をイメージするかもしれません。しかし、単に丈夫な素材を使って家をつくるだけでは、地震に強い家ができるわけではありません。「この構造であれば、震度いくつまでの地震に対してどれくらい耐えることができる」といったことを示す基準を客観的に満たしている必要があるのです。

「耐震等級」が高い家をつくる

地震への強さを示す「客観的な基準」としては、「耐震等級」と呼ばれるものが存在します。耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称、品確法)」によって定められる等級の一つです。耐震等級には1から3まであり、それぞれ以下のように地震への強さを表しています。

-等級1:震度6〜7の地震に対して倒壊・崩壊しない。震度5強の地震に対して損傷しない

-等級2:等級1に対して、1.25倍の地震力に耐えることができる

-等級3:等級1に対して、1.5倍の地震力に耐えることができる

等級1で想定している「震度6〜7の地震」は、「数百年に1度起きるレベルの大地震」とされています。「数百年に1度の地震」に対して「倒壊・崩壊しない」ということは、「建物の一部が破損することはあるかもしれないが、建物が崩れて下敷きになるようなことはない」という意味です。また、耐震等級1で保証されているのは、建築基準法で求められている耐震強度でもあります。なので、耐震等級2、耐震等級3はそれぞれ「建築基準法を満たしている住宅の1.25倍、1.5倍地震に強い」と言い換えてもいいでしょう。

住宅を建てるときは、耐震等級をいくつにするかを考えておくと、建物全体の包括的な地震対策を考えることができます。

地震対策は火災対策と両立して

地震というと、被害は揺れによる建物の倒壊だけと思いがちですが、火災対策も忘れてはいけません。震災時は電気機器のショートなどにより火災を併発することが多く、建物が揺れに耐えられても周辺の火災によって命が危険にさらされる可能性があります。それを防ぐには、揺れだけでなく火にも強い家をつくらなくてはなりません。

たとえば、外壁材としてALCボードを採用すれば、隣家からの類焼を防ぐことができます。ALCボードとは、細かい気泡を発泡させてつくる外壁材です。断熱性・耐火性に優れており、火災対策としてはまさにうってつけの素材です。

また、「木は燃えるから木造住宅は火に弱い」というわけではありません。きちんと乾燥された木材は、火に対しても十分な強度を発揮し、燃えても急に強度が低下しないため、逃げ出すまでの時間を十分に稼いでくれます。

このように、地震対策は火災対策と合わせて考える必要があります。地震と火災、両方に備えた家づくりを行うことで、あらゆる災害から家族の命を守る「災害に強い家」を実現できるのです。