温度差のない家を実現する鍵は、設備の利点を生かす「暮らし方」にあった?

掲載日:2016/07/27

更新日:2020/07/03

室内の温度差は、体にとって大きな負担となります。夏、暑い屋外とエアコンの効いた室内の温度差が苦手、という人も少なくないでしょう。

  • ヒートショックなど温度差による健康被害を防ぎたい
  • 高齢の家族がいるので、温度差による体への負担が心配”

住宅建設を考えている方の中にも、このような悩みを抱え、室内の温度差が気になっている方は多いと思います。今回は、そうした方のために「温度差のない家」をつくるための方法をご紹介しましょう。

温度差のない家をつくるなら、高気密高断熱住宅がおすすめ

室内の温度差を防ぐ方法としては、壁や天井に断熱材を設置したり、床暖房を採用したりといった方法があります。しかし、もっと根本的な方法をご紹介しましょう。

それは、新居を「高気密高断熱住宅」として建設することです。高気密高断熱住宅はその名の通り、断熱性に優れています。当然、室内の温度差も生じにくくなるわけです。冷暖房の効率もアップするため、暑い夏や寒い冬でも快適に暮らすことができるでしょう。

正しく運用しないと温度差が生じることも

しかし、高気密高断熱住宅を採用したご家庭からときおり「断熱性が高いはずなのに、室内に温度差がある」といった声が聞こえることがあります。もちろん、いくら高気密高断熱住宅といえども完璧に温度差を抑えることは不可能ですが、それ以前の問題として「温度差が生じやすくなる暮らし方」をしているのかもしれません。

高気密高断熱住宅は優れた方式ではありますが、正しく運用しないと効果を十分に発揮することができません。そのため、「高気密高断熱住宅にしたけど、温度差はなくならないよ」という意見は注意して聞く必要があります。

外部閉鎖化と内部開放化を徹底しよう

では、高気密高断熱住宅では具体的にどのような暮らし方をすればいいのでしょうか?ポイントは、「外部閉鎖化」と「内部開放化」の2つ。この2つを実行しなければ「温度差のない家」を実現することはできないのです。

外部閉鎖化とは、「家の出入り口や窓を常に締めておく」ことを意味します。高気密高断熱住宅には、24時間換気システムが備わっているため、窓やドアを閉めきっていても空気が淀んでしまう心配はありません。

内部開放化とは、「室内のドアを常に開放しておく」ことを意味します。一般的な高気密高断熱住宅は、リビングやキッチンなどの共用空間は仕切りのない開放的な構造になっているはずです。また、寝室などの個室のドアには「ガラリ」と呼ばれる空気が流れるための通気口が設けられています。このガラリをもので塞いでしまわないように注意してください。

高気密高断熱住宅とは、いわば「家をひとつの大きな部屋と見立てて、丸ごと断熱する」形式です。そのため、「部屋」の中の空気の流れが滞ると温度差が生じてしまいます。外部閉鎖化と内部開放化を徹底することで、初めてその機能を十分に発揮することができるのです。また、同じ理由から24時間換気システムを止めてしまうのも厳禁です。

どんなに優れた仕組みでも、正しく運用しなければ利点を生かすことはできません。「温度差のない家」を実現するためには、「温度差を生じさせない暮らし方」になるよう気をつけてみてください。