家が原因で病気に?アレルギー・シックハウス症候群に備える対策とは?

くしゃみ

掲載日:2016/01/28

更新日:2020/07/03

これから家づくりを考えている人にとって、「建物が原因で起こる健康被害」はぜひとも注意しておいてほしいポイントです。建物が原因とはいっても、気をつけるべきは階段で転んだり、廊下で滑ったりすることばかりではありません。目に見えないところで知らないうちに自分や家族の健康が害されていることもあるからです。

そうした、建物による「目に見えない健康被害」の代表格ともいえるのが「アレルギー」と「シックハウス症候群」です。

今回は、

  • 子どもにアレルギーがあり、新居で悪化しないか心配
  • シックハウス症候群を未然に防ぎたい

という方のために、アレルギーが起こらない家を建てるにはどうすればいいか考えてみましょう。

アレルギーとシックハウス症候群の違い

アレルギー、そしてそれとよく似た症状の健康被害としてシックハウス症候群というものがあります。両者はどのように違うのでしょうか?

アレルギーは特定の物質に対して人体の免疫機能が過剰反応してしまうことをいいます。じんましんや喘息、鼻炎、皮膚炎などがよく知られる症状でしょう。一方、シックハウス症候群とは「建物内で起こるさまざまな健康被害」の総称です。シックハウスの症状がなぜ起きるのか、そのメカニズムはまだ解明されていません。建物内の建材や調度品、カビ、ダニなどが原因でアレルギーが生じれば、その症状はシックハウス症候群という健康被害のなかに含まれることになります。

ハウスダストや有害化学物質が原因に

アレルギーやシックハウス症候群は、何が原因で起きるのでしょうか? 両者に共通する原因とされているのがハウスダストです。ハウスダストとは、「肉眼では見えない1㎜以下のチリやホコリ」のこと。ダニの死がいやペットの毛、カビ、花粉、細菌、繊維クズ、人間のフケなどさまざまな物が含まれます。ハウスダストを吸い込むことで、アレルギー性鼻炎や皮膚炎、ぜん息、鼻づまりなどの症状を引き起こします。

シックハウス症候群の場合は、ハウスダストに加えて建物内に使われる化学物質が原因になることもあるので注意しましょう。家の内部で使われている接着剤や塗装材などの材料には、人体に有害な化学物質が含まれている場合があります。これに加え、石油ストーブやガスストーブから排出される一般化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物なども原因となります。

住宅の高気密化は快適な住まいを作りますが、化学物質による空気汚染が起こりやすくなるというデメリットもあります。建築基準法では24時間換気システムの設置などを義務づけることで、化学物質の健康被害を抑えていますが、完全にシャットダウンすることは難しいでしょう。

対策は、換気と安全な建材を使用すること

では、アレルギーやシックハウス症候群を予防するにはどうしたらいいのでしょうか?対策としては、主に2つの方法が考えられます。

ひとつ目は、室内の掃除と換気を徹底することです。先ほど、アレルギーやシックハウス症候群の原因のひとつに、空気中を漂うハウスダストと有害化学物質があると説明しました。これらの物質が室内にとどまってしまうのは、掃除と換気が不十分だからです。

新築から間もないころは1日に数回、窓を開けての換気をこまめに行うといいでしょう。24時間換気システムを「音がうるさい」、「乾燥する」といった理由で止めてしまう方がいますが、家族の健康を守るためには避けてください。新築でなくても小まめな換気と掃除は、健康維持に有効です。また、換気や掃除は、カビ・ダニ対策にも効果あります。結露しやすい窓まわりや風通しの悪い押入れの奥はどうしてもカビが繁殖しやすくなるため、除湿器などをうまく使いながら、程よい湿度を保つのも効果的です。

ふたつ目の方法とは、有害な化学物質の放散が少ない建材を使用することです。厚生労働省は、建物に使用される建材について、シックハウス症候群の原因のひとつである化学物質物質に関する基準を示しており、基準を満たした建材は「F☆☆☆☆」「F☆☆☆」「F☆☆」「F☆」と表記しています。☆の数が多いほど化学物質の放散量が少ないものとなるので、建材選びのひとつの手がかりとなります。

ただし、この等級制度は単に「基準を満たしている」ということを保証しているに過ぎません。有害な化学物質を「まったく放出しない」というわけではないので油断は禁物です。化学物質に十分配慮した家が完成した後も、換気に気をつける、小まめに掃除をするといった日常生活の配慮は大切です。