「地震」「洪水」「台風」に強い家を建てるための家づくりのポイント

掲載日:2021/08/25

日本は、季節の変化が大きい国です。春夏秋冬、四季折々の自然の変化を毎年楽しみにしている方も多いことでしょう。しかし、それは同時に「自然環境の変化が厳しい」、「地震や台風などの災害が多い」といったことも意味しています。

こうした環境を背景に、家づくりにおいて災害対策に焦点を当てる方は少なくありません。そこで今回は、「災害に強い家」を実現するためには、どのように家づくりを進めたらいいかをお伝えしたいと思います。

  • 過去に地震、台風、洪水などの災害の被害にあったことがあり、災害リスクを極力抑えた家を建てたい。
  • 災害に強い家をつくって、建物と家族を災害から守りたい

こうした要望に応える「災害に強い家」とは、いったいどのような家なのでしょうか?

「地震」に強い家の構造とは?

日本における自然災害といえば、まず地震をイメージする方は多いでしょう。

1995年に発生した阪神・淡路大震災では、6000人を超える犠牲者のうち、8割以上が建築物などの倒壊によって亡くなっています。

「RC造住宅は地震に強い」「木造は弱い」といったイメージを持つ方もいるかもしれませんが、大切なのはどれだけしっかり建てられているかです。2000年に制定された「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」では、住宅の性能を表示する「住宅性能表示制度」を制定しており、地震に対する建物の性能についても「耐震等級」で表示することができます。

「住宅性能表示」では、建物の耐震性能を壁の量や位置、耐力壁の量、筋交いの位置などから算出します。この基準をクリアした家なら、鉄筋でも木造でも地震で倒壊するリスクは減らせるといえるでしょう。

建築基準法に沿って建てられた家なら、「住宅性能表示」の「耐震等級1」は取得できます。ただし注意したいのは、「耐震等級1」は「損傷は受けても、人名は損なわれない」家を基準としており、大きな揺れによる家財被害や、建物の一部損壊は免れません。「地震に強い家」を目指すなら、建築基準法で基準としている地震エネルギーの1.5倍の揺れを受けても倒壊しない「耐震等級3」を目指したいところです。

本格的に「地震に強い家」を建てたい方には、建物と地盤の間に免震部材を挟むことで、地震の揺れを絶縁する「免震住宅」もあります。揺れ自体を抑えるので家財も人も安全ですが、コストがかかるというデメリットがあります。

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「水害」に強い家とはどんな家?

日本に到来する台風は年々巨大化しており、被害も大きくなっています。毎年台風シーズンになると水害の被害が報道され、被災者の姿に心を痛めている方も多いのではないでしょうか。

「水害に強い家」を建てるために、最も重要なポイントは立地です。国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」では、過去の被災状況を確認できるので、洪水など水害のリスクをチェックすることができます。新たに土地探しから始める場合、「ハザードマップ」の確認は必須です。

相続や建物の建て替えなど、決まった土地で家づくりをスタートする場合、水害リスクを避けられないケースもあるでしょう。その場合は、被害の大きい床上浸水を防ぐ家を想定する必用があります。

例えば、土地に盛り土をして敷地全体を高くする「かさ上げ」や、家の基礎部分を高くして、1階をピロティにする「高床」などは、浸水対策として有効です。ただし、「かさ上げ」はコストが高くなりがちなのがデメリット。「高床」は構造上弱くなることがあるので、しっかりとした構造計算が必要になります。

建物を防水性の塀で囲む方法や、止水板の設置も効果があります。ハザードマップでは、浸水した場合に想定される水位も表示されているので、土地の状況にあった浸水対策を考えましょう。

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「台風」に強い屋根はどう選ぶ?

屋根材は、雨水から建物を守ると同時に、台風や強風による破損や飛散を防ぐ必要があります。

昔ながらの瓦は固定されていないことが多く、重量があるため「台風に弱い」というイメージでしたが、最近では軽量化された製品も登場。またビスでしっかり固定する「災害瓦」なら安心です。

軽量なスレートやガルバリウム鋼板は「台風に強い」というイメージでしたが、強風ではがれて飛散してしまうケースもあり。定期的に点検して、しっかりメンテナンスする必用があります。

素材によって一長一短があるため、どの屋根材が台風に強いとは一概にはいえません。大切なのは信頼した業者に依頼して、しっかりと施工すること。そして完成後は定期的な点検とメンテナンスを行うことで、「台風に強い」屋根にすることができます。

「自然災害に強い家」づくりのポイント

最後に、「自然災害に強い家」をつくるために必要な要素をまとめてみましょう。

  • 「地震に強い家」は構造がポイント。「耐震等級3」が理想的
  • 家族や家財を守る「免震」機能は、コストと相談
  • 「水害に強い家」はハザードマップで土地の環境をチェック
  • 浸水のリスクがある土地は、「かさ上げ」や「高床」などで対応
  • 屋根材は一長一短あり。ポイントは丁寧な施工とメンテナンス

以上に気をつければ、「災害に強い家」を実現することができます。さっそく、家づくりの次のステップに進みましょう。