「メンテナンスがラクな家」を実現するための家づくりのポイント

掲載日:2021/08/25

住宅の性能を維持するためには、メンテナンスが欠かせません。10年、20年といった時期ごとに住まいを点検することで致命的な破損を防ぎ、必要なメンテナンスを行うことで、住まいの寿命も長くなります。

国税庁が住まいの減価償却費を算出する際、木造の建物の耐用年数は30~33年と定めています。ただし、この「耐用年数」はあくまでも計算上の目安であり、実際の家の寿命ではありません。丁寧に施工し、きちんとメンテナンスを行うことで家の寿命も80年、100年と長くなり、安心して暮らすことができます。

とはいえ、点検すべき箇所は極めて多く、場所によって適切なメンテナンス時期も異なります。あらかじめメンテナンスが必要になるタイミングをチェックして、費用についての心づもりをしておきましょう。

家づくりの段階でメンテナンスに配慮した素材や設備をセレクトしておけば、「メンテナンスがラクな家」の実現も可能。住まいの寿命も長くすることができます。

  • メンテナンスのタイミングを逃したことで建物の破損がひどくなり、修繕に余計なコストがかかった。
  • 住まいの状態は維持したいが、そのために手間をかけたくない

こうした悩みを解決する「メンテナンスがラクな家」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

メンテナンスがラクな家とはどんな家?

長く住み続ければ、住宅には必ず不都合が生じます。

例えば、雨や風、など自然の影響や気候の変化による「外界からのストレス」。また、日々使用することによる経年劣化や破損など、「素材や設備の破損・老朽化」。こうしたさまざまな要因で住まいの劣化は進みます。

こうした劣化を避けることはできませんが、建物の構造や建材選びで、メンテナンスコストを抑えることは可能です。

例えば、住まいの結露は壁内のカビの発生や構造材の腐食の原因となり、場合によっては建て替えが必要となるケースもあります。結露を防ぐためには、建物の気密性・断熱性がポイントに。住まいの性能を高めることで、建物の劣化の進行を抑えられます。

雨風にさらされる外壁材や屋根材についても、汚れがつきにくく、色あせしにくい製品を選ぶことで、メンテナンスコストは抑えられます。その分、初期費用は高くなるので、予算と相談しながら決めましょう。

住まいの破損・老朽化については、完全に防ぐことは不可能なので、定期的な点検とメンテナンスが必須です。

大切なのは、

  • あらかじめ「メンテナンスのスケジュールを立て、費用の準備をしておくこと。
  • 信頼できる業者に定期的な検査を依頼すること。
  • キレイに住むことを心がけ、破損や老朽化した部分を見つけた時は速やかに適正な対応をすること。

の3つです。建物の破損は、見た目が小規模だとしても油断できません。ほんのすこし外壁や屋根が破損しているように見えたとしても、そこから雨水が侵入して構造材を腐らせ、致命的な損傷につながる可能性もあるからです。

メンテナンスのタイミングはいつ頃?

定期的な点検を行うことは、長く住み続けるうえでとても大切です。あらかじめメンテナンスが必要になりそうなタイミングを把握しておきましょう。

外壁や屋根は築後10~15年目ぐらいに点検をしましょう。外壁にサイディングやタイルを使用している場合、外壁材に傷みがなくても、目地(シーリング)が切れていると水が浸入する恐れがあるので要チェックです。

塗装は見た目の美しさはもちろん、下地への水の浸透を防ぐ効果もあるので、早めのメンテナンスが大切。こちらも築後10~15年目に再補強しておけば、大きなトラブルを防げます。大きな地震や台風の後は、屋根材や雨どいに傷や割れが生じていないかチェックしましょう。

毎日使用するキッチンや浴室などの水まわり設備については、5年を目安に点検を。15年をメドに本格的な設備交換が必要となってくると言われているので、予算を確保しておく必要があります。

室内のクロスやフローリングは、日常的にケアすることで長く使用することができます。とはいえ汚れやすい部分でもあるので、剥がれなどが生じてきたら修繕が必要に。建具は蝶番などがスムーズに動いているかを確認しましょう。

住まいの快適性は、見えない部分も支えています。排水管はカスなどが溜まると異臭などの原因となるので、5~10年で点検・洗浄を行うのがおすすめ。構造体を支える防蟻処理についても、5~10年ごとに再処理を行いましょう。

ハウスメーカーの保証制度を活用

新築住宅の場合、躯体にトラブルが生じた時は、10年間売主が契約不適合責任を負うことが法律(「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」)によって定められています。保証期間が過ぎると自己負担となりますので、このタイミングで点検をしておくのもおすすめです。

また、独自の検査システムや保証制度を提供しているハウスメーカーもあるので、依頼先を決める時に比較検討しておきましょう。修繕が必要となった場合のサポートがあるメーカーなら、住まいのデータを一貫して管理してもらえるので、安心感がありますね。

家のメンテンナンスのポイント

最後に、「メンテナンスがポイントとスケジュール」についてまとめてみましょう。

  • 築後10~15年を目安に点検を
  • 定期的な点検で修繕が必要な箇所を早めにチェック
  • 外壁は見た目に問題なくても、目地の点検・修理が必要なことも
  • 大きな地震や台風の後は、外壁や屋根、雨どいをチェック
  • 水まわり設備は15年を目安に交換が必要に
  • 室内は小まめなセルフメンテナンスでキレイをキープ
  • 見えない部分こそ定期的な点検を

これらに気をつけることで、大切な住まいの資産価値を損なわず、長く安心して住み続けることができます。

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