1階と2階どちらが住みやすい?高齢者に配慮した間取りとは

老夫婦(後ろ姿)

掲載日:2015/12/01

更新日:2020/07/03

超高齢社会となった今、

  • 高齢の家族がいるので、住みやすい家をつくりたい
  • 将来自分が年老いたときも同じように住み続けたい

家づくりを検討している方の多くがこのような願いを共有していることと思います。高齢者に配慮した家づくりというと、多くの方は「段差をなくす」、「手すりを取り付ける」といった個別の工夫に目を向けてしまうかもしれません。たしかにそういった工夫も重要ですが、それ以上に大事なものが間取りです。間取りは設備と違い、簡単に変更することはできません。そのため、できるかぎりの配慮を住宅建設時に行っておく必要があるのです。今回は、「高齢者に配慮した間取り」について考えてみましょう。

主な生活空間を1階にするか、2階にするか

「高齢者が暮らしやすい間取り」というと、多くの方は平屋の家を思い浮かべることでしょう。高齢になると階段の登り降りがきつくなり、また、子どもが家を出ていくためそれほどの広さは必要なくなります。そのような場合は平屋建てでも問題ないでしょう。

しかし、子どもと同居するケースなどでは2階建て以上の住宅を建てなければならないことも多々あります。そのような場合に問題となるのが、「親(高齢者)の個室を1階にするか、それとも2階にするか」ということです。

1階、2階どちらを選んでもメリット・デメリットがある

親の個室を2階、リビングを1階に設ける場合について考えてみましょう。この間取りは親の主な生活空間がリビングであるときに有効です。1日の多くをリビングで過ごし、2階に上がるのは寝るだけであれば、階段の登り降りを最小限に抑えることができます。ただし、将来足腰が弱くなったときに、階段を昇り降りするのが大変になってしまうかもしれません。

続いて、親の個室を1階、リビングを2階にする場合を考えてみましょう。この間取りは親の主な生活空間が個室である場合に有効です。ただし、将来足腰が衰えればわざわざ2階のリビングにまでのぼるのが面倒になり、部屋にこもりがちになる可能性もあります。

また、階段の登り降りは必ずしも悪いことであるとは言い切れません。階段を昇り降りすること自体が日常的な鍛錬となり、足腰の衰えを予防する効果もあるからです。

「将来の間取り変更」にあらかじめ備えておこう

ここまでの説明を聞いて「結局どうしたらいいのかわからないじゃないか!」という印象を持った方もいるでしょう。実際、高齢者の体の衰え方は個人差が大きいため、最初から万全の備えをしておく、というのは難しいのです。

そこで、いっそのこと考え方を変えて「将来、体が衰えたときにリフォームしやすい間取りにしておく」というのはどうでしょうか。

ひとつの手としては、住まいを「スケルトン・インフィル」の構造としてつくっておく方法があります。スケルトン・インフィルとは住宅の柱や壁といった「構造」と「間取り」を分離した建て方のことで、「リフォームしやすい住宅の形式」として知られています。

住まいでの暮らし方は、ライフスタイルの変化によってさまざまに変わります。変化に備え、対応する方法をあらかじめ考えておくことで、ひとつの家に長く住み続けることができるのです。