段差のない家をつくって、家族の安全を守ろう

車椅子

掲載日:2015/12/01

更新日:2020/07/03

家は長く住み続けるものです。そのため、今現在だけでなく、将来に備えて家づくりを考えなければなりません。そんな「将来への備え」の最たる例が「加齢への配慮」でしょう。

人は誰しも必ず年を取り、体の機能が衰えます。

  • 高齢の家族がいるので、段差のない家をつくりたい
  • 将来自分が年老いたとき、家庭内事故が心配

こうした悩みにあらかじめ備えておくためには、「段差のない家」を建てるのが一番です。そのためには、どのようなことに注意すればいいのかご紹介していきましょう。

日常生活空間の段差を5mm以下に抑える

家は人間の手によってつくられるものですから、いくら段差をなくすといっても家中のありとあらゆる段差を完全にフラットにすることは不可能です。そこでまずは「どの部分の段差をどれだけなくせばいいのか」について考えてみましょう。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が定める「バリアフリー性に関する基準(高齢者等配慮対策等級3)」によると、新築住宅を高齢者に配慮したものにする場合、

  • 日常生活空間で段差が5mm以下のものを段差のない構造とする

ことが定められています。そこで今回はこの基準を例にとり、「段差のない家」を「日常生活空間の段差を5mm以下に抑えた住宅」と定義して考えてみることにしましょう。

基準に従うと、一部段差が残る場所もある

「日常生活空間」とは、玄関やリビング、キッチン、トイレ、寝室など、毎日生活のために利用する場所すべてのことです。実際の家づくりでは、施工業者に「段差のない家をつくりたい」という旨を伝え、きちんと要望通りに設計・施工されているかチェックしていくことになるでしょう。

ただし、先ほどご紹介したバリアフリー性に関する基準(高齢者等配慮対策等級3)には、「日常生活空間」の中に段差を5mm以下に抑えなくてもよいとされている「例外」があります。例外となる場所は、玄関の上がりかまちやバルコニー、浴室などです。

「例外」も段差をなくして家全部をバリアフリーに

しかし、これらの「例外」とは、あくまで「その基準の中では例外扱いされている」というだけのもの。本当に「段差のない家」をつくりたいのであれば、これら「例外」の場所も段差をなくすよう努力してみましょう。

たとえば、玄関には上がりかまちを設けず、フラットな高さで室内に入れるようしてはいかがでしょうか。一見、室内に汚れが入りそうに思われるかもしれませんが、玄関と隣接する床との高さが同じになることで、掃除しやすくなるというメリットもあります。

バルコニーも、隣接する部屋との間で床の高さを揃えれば、行き来を楽にすることができるでしょう。天気の良い日には窓を開け放ち、室内外が一体化した開放的な空間として利用することもできます。

浴室は特に高齢者が転んでしまいやすい場所なので、段差をなくすメリットの大きい場所です。それだけで不安なのであれば、手すりを設置するなどの方法を併用するのもいいでしょう。

段差のない家を実現することができれば、老後の生活が安全になるばかりでなく、若いうちの生活も楽になります。ぜひ検討してみてください。