住宅の省エネ性能を示す、次世代省エネ基準とは?

掲載日:2016/01/28

更新日:2020/07/03

近年は地球温暖化などの環境変化により、冬の寒さ、夏の暑さは年々厳しさを増しつつあります。こうした中、新しく家を建てる方のなかには、

  • 冬暖かく夏涼しい家で快適に暮らしたい
  • 地球環境に配慮したエコな家を建てたい

といった希望を持つ人も少なくありません。

住まいが「エコな家」かどうかを判断する一つの基準に「次世代省エネ基準(次世代省エネルギー基準)」というものがあります。今回は、次世代省エネ基準とはどのようなものか簡単にご紹介します。

現在は、平成25年省エネルギー基準が最新

「次世代省エネ基準」とは、実は少し古いものです。次世代省エネ基準は、1999年(平成11年)に住宅の断熱化性能を示す基準として、建設省により定められました。その後、2013年(平成25年)に改定が行われ、現在は「住宅・建築物の省エネルギー基準」、通称「平成25年省エネルギー基準」と呼ばれるものが最新版です。

平成25年省エネルギー基準では、以下の3つの指標によって住宅の省エネルギー性能を判定します。

  • 外皮平均熱貫流率(UA値):建物の外皮からどれだけ熱が失われるか
  • 冷房期の平均日射熱取得率(ηA値):建物の外皮から太陽光の熱がどれだけ吸収されるか
  • 一次エネルギー消費量:建物の中で電気やガスなどのエネルギーをどれだけ使うか

UA値が少ないほど断熱性能が高く、ηA値が少ないほど冷房効率が良くなり、一次エネルギー消費量が少ないほど省エネの家だということになります。

基準をどれほど順守しているかは、メーカーによって異なる

続いて、平成25年省エネルギー基準の問題点をご紹介しましょう。実は、平成25年省エネルギー基準は施工業者に与えられた努力目標に過ぎません。つまり、どれだけ基準を満たそうとするかはメーカーごとの取り組み方によって違っているのです。メーカーによっては、改定省エネ基準よりも厳しい独自基準を設けているところもあります。

また、日本の住宅の省エネ化への取り組みは、海外と比較すると遅れているといわれています。平成25年省エネルギー基準は、基準となる指標の計算方法こそ変わったものの、求められる「性能のレベル」自体は13年前に定められた「次世代省エネ基準」からほとんど変わっていません。さらに、仮に平成25年省エネルギー基準で求められる省エネ性能を完全に満たしたとしても、ようやく欧米の最低レベルに届く程度であるといわれているのです。

省エネにどれだけ向き合うかが、業者選びのポイントにもなる

それでは、住宅を建てるにあたり、改定省エネ基準を満たすほうがいいのでしょうか?それとも満たさなくてもいいのでしょうか?

平成25年省エネルギー基準を満たした家を建てれば、暑さや寒さに悩まされることなく、快適で健康な暮らしを手に入れることができます。日々の光熱費も安く抑えることができるでしょう。地球環境の維持にも貢献できます。一方、基準を満たそうと努力すればするほど問題になるのが建設費です。高い性能を求めるほど建設費が高くなるのはやむを得ないことでしょう。

先ほどご紹介したように、平成25年省エネルギー基準をどれだけ満たそうとしているかは、メーカーによる違いが大きいため、カタログを参考にしたり、展示場の営業マンに質問するなどして、そのメーカーの省エネへの取り組みを確認してみるのもいいでしょう。