道路斜線制限を利用して、狭い土地に建てる家を少しでも広くつくる方法とは?

掲載日:2016/03/18
更新日:2020/07/03
「新築で家を建てたいが、狭い土地しか入手できなかった……」
このような方は多いのではないでしょうか?狭い土地を上手に使って広い家を建てるのは、永遠の課題と言ってもいいでしょう。
今回は、
- 狭い土地を有効活用して、できるだけ広い家を建てたい
- 狭い土地でもバルコニーを諦めたくない
こうした悩みを持つ方々のために、「狭い土地にできるだけ広い家を建てる方法」をご紹介します。
セットバックをクリアして、狭い土地を広く使おう
今回ご紹介する方法は、「セットバック」という構造を利用したものです。セットバックとは、2階、3階と上に行くに従って、錐状に建物の外面が後退していく家のつくりのこと。「ピラミッドみたいな家のつくり」といったらわかりやすいでしょうか。
セットバックは本来、「道路斜線制限」という法規制に対応するために用いられてきました。道路斜線制限とは、建物とは反対側にある「道路と他の土地との境界線」から1.25/1の勾配で建物側に対して斜線を引き、「その斜線内に建物が収まるよう」求めている決まりのことです。もし、道路斜線制限がなかったとしたら、道路は周囲の建物に挟まれた路地のようになってしまいます。そうなると、周囲を見渡しにくくなり、事故が起こりやすくなってしまうので、安全を確保するためにこのような決まりがあるのです。
スカイバルコニーのような構造なら、開放感も味わえる
道路斜線制限は、たとえ狭い土地に建てる家であろうと容赦なく適応されます。狭い土地で広さを確保しようとすれば、複数階建ての家にするしかありませんが、そうなると斜線制限に引っかかりやすくなってしまうでしょう。
そこでセットバックの出番です。道路斜線制限は、その名の通り地面から見て斜めの線で建物の高さを制限します。つまり、ピラミッドのように1階から徐々に道路側から後退していくように家をつくれば、道路斜線制限をクリアしながら広い家をつくることができるのです。
特に、道路に面する部分に屋根がなければその分斜線制限に引っかかりにくくなります。たとえば、2、3階部分の道路側をスカイバルコニーのような構造にすれば、楽に斜線制限をクリアしつつ開放感を味わうことができるでしょう。
自治体により後退しなければならない距離が異なる
セットバックを取り入れた家をつくるときに、忘れてならないのは、道路斜線制限は建築基準法によって斜線の角度が定められているだけでなく、家を建てる地域によって細目が異なっていることです。地域によって、セットバックで「後退しなければならない距離」が変わってくるのです。
この点をよく調べずに家を立ててしまうと、
- 本来下がらなければいけない距離より多く後退してしまい、家が狭くなってしまった
- 本来下がらなければならない距離を守らず、建設後近隣住民とトラブルになってしまった
ということが起こります。
もとより、施工業者は自ら調べて建設を行うはずですが、建設が始まってしまえば責任を問われるのは施主である自分です。自治体によっては役所に書類提出が必要なこともあるので、合わせて注意してください。