理想を形に!依頼先の選び方 ハウスメーカー・工務店・設計事務所

住まいづくりナビセンター

掲載日:2022/01/31

 このサイトをご覧になっている皆さんは「我が家を持つなら、ぜひ注文住宅!」とお考えの方が多いと思います。住まいは「借りる」「買う」「(実家などを)引き継ぐ」そして「建てる」と、 いくつかの選択肢がありますが、その中でも「建てる」を選択する皆さんは、実現したい希望や 具体的な要望を持っていらっしゃることと思います。
 そこで日頃、住まいの相談に対応する中でお話ししている「依頼先の選び方」についてお伝えいたします。

 注文住宅を建てる際、その依頼先には、種類があることをご存知ですか?今回は、大きく分けて3つの依頼先についてお話します。
 1つ目は、みなさんもご存知のハウスメーカーです。全国規模の大手から地域密着の中規模の会社まで様々です。主な特徴は、住宅展示場にモデルハウスがあるので実物を体感できる、カタログが豊富でCMでもよく見かけるなどが挙げられます。
 2つ目は、地域密着型で、住宅建築に特化している工務店です。地域の特性に詳しく、地元で採れる国産材を使う、または環境に配慮した自然素材を採用するといった、建築材料にこだわる会社など、個別の特徴があります。
 3つ目は、設計事務所です。あまり身近にない存在かもしれませんが、設計事務所の設計に従って、工事会社が工事をします。設計事務所の特徴は、設計と工事を別々の会社が担うことから、設計者が「建て主の代わりとなり第 3 者の目で工事をチェックする」ことができることです。

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依頼先の選定方法


 依頼先別の特徴を知っていただいたところで、次は依頼先の選び方についてです。実は、みなさんの思いのこもった新しい住まいを、できるだけ希望に沿った形で実現するには、「みなさんが家づくりに求めること」と「依頼先」のマッチングが一番重要です。ここでは選定の手がかりについてお話しいたします。

◆手がかり1    依頼先に求めること、重視する点について考える
 例えば、信頼性や将来的な安心感を重視するなら大手ハウスメーカー、国産材や無垢材など建築材料にこだわりたいのなら工務店、ミリ単位でこだわる、きめ細やかな設計を求めるなら設計事務所、といったように、みなさんが依頼先に求めることや家づくりで重視する点について考えてみてください。

◆手がかり2    予算、スケジュール、敷地条件について考える
 家づくりに掛けられる全体の期間や、仮住まいや引っ越し費用を含めた家づくりの総予算などの条件から依頼先を絞る方法もあります。設計事務所との家づくりは、打ち合わせ回数が多く、設計や工事の期間が長くなる傾向があります。じっくり家づくりを楽しみたい方にはおすすめしますが、ある程度スピード感を重視する方はハウスメーカーが良いでしょう。ただ、スペックにこだわる工務店や高度な基本性能が標準化されているハウスメーカーは、予算に余裕が必要です。一方、新築時は予算に合わせた住まいとし、資金が出来たタイミングで追加リフォームしていく、といった柔軟な対応が可能な設計事務所もあります。
 なお、狭小や変形した敷地、さらに敷地に接する道路幅が狭く、大型の工事車両が近づけないなど、敷地条件によって工事が難しい場合があります。予定敷地が該当するようであれば、依頼先選びの段階で対応の可否を確認すると良いでしょう。

大手ハウスメーカーを選ぶなら…住宅展示場活用のススメ


 お客さまからのご相談で、よく出てくるのが「ハウスメーカーの選び方がわからない」という悩みです。各社、耐震性や断熱性などは性能評価基準の数値でわかりやすくパンフレットに掲載されていますが、それだけで比較検討するのは、なかなか難しいようです。
 そんな方には「まずは構造と工法を比較してみましょう」とアドバイスしています。ハウスメーカーの構造には、木質系、鉄骨系、コンクリート系などがあり、それらは性能や価格に影響します。また、大手ハウスメーカーの中には、複数の構造がラインナップされている会社もあり、住宅展示場によって異なる構造のモデルハウスを展示していることがあります。HPやカタログなどで予習して、さらに展示場で実物を見ながら、それぞれの構造特性について質問してみると、その違いがよくわかるのではないかと思います。
 併せて、入居後、快適に住み続けるためのメンテナンスやリフォーム、将来、住み替えなどで 売却する場合のサポートなどについても質問すると良いでしょう

 このように住宅展示場は、テーマや質問項目を決めて、複数回、見学することをお勧めしています。視点をしぼることで比較しやすくなり、同じ質問に対し、どのような説明をしてくれるのかも検討のポイントとなるからです。話しやすいか、自分のイメージをすぐに共有できるか、説明がわかりやすいか、などを意識してお話ししてみましょう。注文住宅を建てるには、担当営業とのコミュニケーションは不可欠なので、相性はとても重要です。イメー ジを共有できる営業の方と出会ったら、完成するまで担当してもらえるのかも確認しましょう。

よく考え、よく話し合おう


 ここまで、注文住宅を手に入れるためのパートナー、依頼先についてお話ししました。いかがでしたでしょうか。まずは、みなさんが希望する我が家について、よく考え、一緒に住む方々とよく話し合ってください。思い描くイメージや希望はみなさんの頭の中にあり、一緒に住む方々もまたそれぞれ違うイメージを持っているかもしれません。イメージと意志の共有が大切になりますので、まずはご自身の頭の中を整理し、正確にそれらを伝えられるか、お互いに話し合ってみましょう。みんなの気持ちがわかったところで、それらを叶えるための依頼先は、どこがふさわしいのか、注文住宅の最初の重要ポイントである依頼先の選定を行っていただければと思います。

<執筆者>
田中哉子
田中 哉子
住まいのナビゲーター、一級建築士
2000年より、一級建築士事務所を設立、主宰。戸建住宅の新築、建て替え、リフォームの設計に携わる。
2002年より、一般財団法人 住まいづくりナビセンターの住まいのナビゲーターⓇとして住宅相談、セミナー講師を担当。

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